後継者を育てて
地域農業守るために
宮崎・都城
市独自で就農支援制度
国制度より条件・制限を緩和
後継者が利用しやすい制度
いま、就農を希望する若者が増加傾向にあります。全国農業会議所の就農支援窓口にも多くの人が就農相談に訪れ、女性も増えてきているのが特徴です。そうしたなか、国の支援制度だけでは不足だとして、自治体独自で就農支援制度を運用する自治体も出てきました。宮崎県都城市の例を紹介します。
国の支援制度だけでは不安
都城市では2016年度から制度の運用を開始しました。国の補助対象とならなかった、新規就農・親元就農者が対象です。
特徴は国の制度と比べて、後継者が適用を受けやすいというところです。国の青年就農給付金は親元就農の場合、経営の継承や、農地の所有権の移転を求められます。また45歳未満という年齢制限があります。さらに新規参入と同等のリスクがあると市町村が認めなければいけません。都城市では、55歳以下にまで対象を広げ、経営移譲などの条件は設けていません。
金額は親元就農の場合月5万円、年間60万円が2年間給付されます。金額、期間ともに国の制度(年間最大150万円を最長5年)よりは抑えられていますが、今まで青年就農給付金の対象外になっていた親元就農者が利用しやすい制度になっています。
都城市は農業高校の希望者が近年増えており、農業後継者が多数いましたが、国の青年就農給付金は、なかなか適用にならず、後継者の支援を求める相談が市に相次いでいました。
また、都城市のふるさと納税でお返し品の一番人気は宮崎牛です。こうした背景もあり、何としても市内の農業を守っていかなければならないという、都城市の決意が見える制度です。
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がんばる畜産後継者の竹下寛隆さん=串間市 |
1日2件ほどの問い合わせが…
申請受け付けがスタートし、「1日2件ほどの問い合わせが来ている」と市の担当者。後継者からも「支援制度ができてありがたい」という声が上がっています。
国の青年就農給付金の運用については、今までに行ってきた運動の成果で改善はされてきましたがまだまだ不十分です。
引き続き改善を訴え続けていくとともに、都城市のような独自の制度を設けるよう、働きかけも行い、地域の担い手を守り育てていくことが必要です。
(新聞「農民」2016.5.2付)
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