「農民」記事データベース20160404-1208-05

小型漁船にサケ刺し網漁させよ

浜の一揆訴訟
第2回法廷盛岡地裁で

関連/漁業者の発言から


浜の復興と漁民の
権利確立めざして

 岩手県の小型漁船漁業者が刺し網によるサケ漁の許可を求めて県を相手取って起こした「浜の一揆訴訟(さけ刺し網漁不許可取消・許可義務付請求訴訟)」の第2回法廷が3月11日、盛岡地方裁判所で開かれました。

 不許可理由求め準備書面を提出

 前回の法廷では、被告の県からは文書による陳述がありましたが、サケ刺し網漁を不許可とする理由についてはほとんどふれていませんでした。今回、原告団は具体的な理由を求める準備書面を提出して臨みました。しかし被告は弁護士が出席するのみで、今回は具体的な答弁はありませんでした。

 原告団は澤藤統一郎弁護士に続き、陸前高田市の漁業者、戸羽喜久男さんが意見陳述を行いました。

 漁師の主張には正当性がある

 原告団は終了後、盛岡市内で報告集会を開催。原告団代表の藏徳平さん(岩手県漁民組合組合長)は「今日で震災から5年を迎える。浜の復興と漁業経営の未来を開くために何としても勝とう」と呼びかけました。

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「サケをとらせろ」と開かれた報告集会

 澤藤弁護士は、憲法が定める職業選択の自由に則り、サケ刺し網漁の許可を求める漁師の主張には正当性があると解説。県からまともな反論がないことをうけ、サケ刺し網漁不許可取り消しについては、漁民の要求が優勢だという見方を示しました。同時に、実際にサケ漁が許可されるための「許可義務付」に向けて、引き続き声を上げていくことが必要だと述べました。

 集会には原告団の漁師たちをはじめ35人が参加。若手からベテランまで各地域の漁師が発言し、決意を述べました。また、来賓として、全国沿岸漁民連絡協議会準備会(全国漁民連)の二平章事務局長と農民連の笹渡義夫副会長があいさつしました。二平さんは、全国で漁民連の仲間が増えていることにふれ、「その中で岩手県の取り組みは先進的。漁民の権利を確立する重要な運動だ」と激励。また、笹渡さんは「農民連としても全力を挙げて支援する」と語りました。

 次回の第3回法廷は5月20日に開かれます。

(岩手県農民連 岡田現三)


漁業者の発言から

 田野畑村の斉藤良治さん(32)

画像  せっかく漁師になったのに、なぜサケをとれないのか、と思っている。県は漁業の後継者がいないいないとばかり言っているが、このままでは後継者も出てこない。早くサケをとれるようにしてほしい。

 陸前高田市の村上郁夫さん(35)

画像  小さいころから、なんでサケをとれないんだろうと感じていた。

 前回の法廷で県が出した答弁書を見たが、自分らから見ても言い訳にしか思えないような中身だと感じた。ここまで裁判をやってきて、実際にサケをとれるようになるんじゃないかと思えてきた。

 山田町の五十嵐悟郎さん(78)

画像  サケをとれば犯罪者だといわれてきた。そういうもんだから仕方がないと思っていたが、ほかの県ではとっていると聞いて、声を上げなければと思うようになった。自分はサッパ船で漁をしていて高齢だが、若い人たちのことを考えれば、何としても県に認めさせなければと思っている。

(新聞「農民」2016.4.4付)
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2016年4月

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