若い生産者育成で
地域農業の再生へ
生消研
シンポと総会
食料の生産と消費を結ぶ研究会(生消研)は3月12日、都内で「多様な担い手の形成と地域農業の再生のために」と題するシンポジウムと総会を開催しました。
生消研の松本和広会長(和歌山・紀ノ川農協専務)は2015年の農業センサスに触れながら「就農人口の減少と高齢化は産直組織も例外ではない。各組織の持続的発展のためにも若手生産者の取り込みが非常に重要になる」と話し、「地域農業の再生の観点から報告者の話を聞いてもらえれば」と呼びかけました。
6人の報告者が取り組みを紹介
6人の報告者が各分野から発言しました。全国新規就農相談センターの五十嵐建夫さんは、地域おこし協力隊を活用した新規就農支援制度を紹介し、「近年、女性の相談が増えている」と話しました。
富山大学の酒井富夫教授は北陸の状況を解説し「家族経営でも個々の生き方をうまく法人に取り入れている例もある。集落営農では女性も参加するなど、いままでの農業のやり方を変え、村の仕組みをつくりかえることが組織を発展させるポイント」と述べました。
神奈川県大和市などで、消費者が出資し運営に積極的にかかわる農場、なないろ畑株式会社を運営する片柳義春さんは「農業は今、農家の無償のボランティアに支えられている状態。これを消費者が支えていく形にするためになないろ畑では消費者が積極的に作業、経営にかかわっていく形にしている」と説明しました。
農福連携など多彩な活動報告
かごしま有機生産組合の大和田世志人さんは、有機農業を志望する人の研修受け入れの経過や、6年前に作った支援センターの取り組みを紹介。
下仁田ミート株式会社(群馬県安中市)の上原正社長は新たな畜産農家の担い手育成について「多大な初期投資がかかるので、親から引き継ぐか、既存の農場で働くのが現実的な選択肢」と語り、JA共済総合研究所の濱田健司さんは各地の実例とともに、農福(農業と福祉)連携が地域を支えている様子を紹介しました。
また、シンポジウム後に行われた総会では、生産と消費の結びつきをさらに強める運動を呼びかける活動方針を全会一致で決議しました。
(新聞「農民」2016.4.4付)
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