この人
水菜の移植栽培に取り組む
圷(あくつ)一博(のぶひろ)さん(38)=茨城鉾田市
子どものころから農業一筋
茨城県鹿行産直センターの青年部員、圷一博さん(38)。22歳に実家で就農して17年目を迎えます。1ヘクタールの水田と、水菜を中心に2ヘクタールの畑で野菜を25〜30品目生産しています。出荷先は市場出荷のほか、生協やスーパーのインショップ、直売所や新日本婦人の会との産直などに出荷しています。
圷さんは「子どものころから遊び場が畑で、最初から農業を継ぐつもりでいました。高校に行かずに就農する気だったのですが、親に勧められて農業高校から大学の農学部に進学して勉強しました」と話します。
もともとはメロンやキュウリを栽培していましたが、圷さんが大学在学中の20年ほど前から水菜の移植栽培に取り組み始めました。冬季の水菜の育成期間を夏と同程度に短縮するための取り組みでした。ポットで育てた苗を14〜15センチ間隔に手で移植をしています。
「冬の効率化を考えていたのですが、株の間隔が広くなるので風通しがよくなり、夏季の病気の予防にもなると思い夏の間も試してみることにしました」と圷さん。改善の余地はまだありますが、農薬の散布回数が減るなど、一定の効果がありました。また収穫の作業効率向上にもつながっています。
「今はハウスが手狭で手作業が多く、出荷にムラがあります。次のハウスの更新で、あわせて移植などの機械化をしていきたいです。そうすれば出荷も安定させられるかな」と先を見据えています。
生産にがんばる一方で人との縁も大切にしています。出荷している水戸市内の直売所は市の商工会館で開設していて、インショップ出荷仲間の農家から紹介されました。「直売所の縁で年に2回ほど無料のカルチャースクールの講師を商工会館で行っています。キッチンガーデン作りをしているのですが、その時にはいろいろな野菜の種を持っていくことにしています。みなさん野菜は見ても種は見たことがない人が多いので、実物を見て興味を持ってもらえたらいいですね」。地域の未来を担う頼もしい生産者です。
(新聞「農民」2016.3.28付)
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