高浜原発3、4号機
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高浜原発の北門で抗議行動をする人たち。左側の丸いドームが3号炉、その隣が4号炉=2015年11月8日(東山さん提供) |
原発裁判は、負け続いていたフクシマ以前に戻り、あたかも福島事故はなかったかのような状況に進むのではないかと危惧していましたが、今回の裁判の決定内容ではっきりしました。日本の原発は止める時代から、すべての原発を廃炉にする時代に入ったことを。
高浜3号、4号だけでなく、40年を超える老朽原発1、2号を廃炉にしましょう。
決定は福島原発事故の原因究明が不十分だと認識し、それだけに新規制基準は不安であり、それに合格したとしてもそれだけで安全性を保証したものとは言えないという考えを示しました。私たちはこの判断はまったく正しいと考えます。
さらに決定の、過酷事故の際に住民の避難計画の策定が再稼働の重要な条件となるという見解も、それを再稼働の条件にしない原子力規制委員会に対するきつい批判であり、伊方原発が日本一細長い佐田岬半島の付け根に立地しており、半島の住民5000人の安全な避難が困難であることをないがしろにする四国電力や、形ばかりの避難訓練で再稼働に同意した中村時広愛媛県知事への痛撃です。
また、決定を読むと、多くの争点で関西電力の立証や説明が不十分であったことを厳しく指摘しています。これは伊方原発裁判で木で鼻をくくったような対応に終始してきた四国電力の心肝を寒からしめるものです。
今、福島の避難指示区域は帰還困難区域を除いて、指示解除に向けて国の工作が行われています。丸5年が過ぎても、事故原因の究明もされず、汚染水は増加し、国が言う懸命な除染作業でも安心して帰還できる環境になってはいないのが現状です。
今回の決定は、自らの責任を棚に上げて帰還を強引に進め、早く「福島を忘れさせる」国の思惑を見事に打ち破りました。福井地裁の大飯原発再稼働差し止め決定とあわせて、「原発安全神話」「経済効率優先」の過ちを糾弾されながらも開き直り、「原発再稼働、原発の輸出」を進める国の政策を正面から批判し、いっそう深刻になる福島の実態を真しにとらえた画期的なものです。
「農業と原発は絶対共存できない」と「原発なくせ」の運動をしてきた国民にとって大きな力になります。激しい巻き返しも始まっています。長期化することで新たな問題、分断も出てきますが、「原発ゼロの日本」を目指す運動を第一に進めていきたい。
日本原水協理事でわたり病院医師の齋藤紀さんは政策による打撃で生活再建どころか資産者の格差が広がりつつある現状を指摘。被災者の心身両面での健康問題が増え、「臨床医(町医者)が大きな役割を持っている」と話しました。
また、子どもの甲状腺がんについても「データをもとに冷静な対処が必要」と述べました。
弁護士の山添拓さんは生業訴訟の中で見てきた福島の様子を示しながら、「人が住まないと家は荒れていく。財物的な意味だけでなく思いでも奪いさられていく」と話しました。
[2016年3月]
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