電力小売り自由化
何が変わる?ポイントは?
(2)
会社選びは「電源構成」に注目
さて、4月から始まる電力小売り自由化で、「原発でなく」「なるべく再エネの」電気を選ぶために、消費者はどのような基準で、何に気を付けて、電力会社を選んだらよいでしょうか。
重要な目安となるのが「電源構成」、つまりその会社の電力が何で発電された電気なのかという情報です。電源構成は、原発の電気を使いたくないという消費者にとって、きわめて重要な情報となりますが、なんと今回の電力小売り自由化では「(電源開示は)望ましい行為」とされ、電力会社任せとなっています。
実際、電源構成を消費者に分かりやすく情報開示しているのは、ごくわずかの電力会社だけですが、再エネ割合を高めようと努力している電力会社ほど、電源構成の開示にも熱心な傾向があるのは明白なので、まずは、電源構成の表示もしないような電力会社は選ばないようにしましょう。
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大規模石炭火力発電の新増設を申請中の東京電力千葉袖ヶ浦発電所 |
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東日本大震災で爆発事故を起こした福島第一原発 |
それから、もう一つは、石炭火力発電への態度も重要な視点です。石炭火力発電は火力発電のなかでも、天然ガスなどに比べて同じ電力量を発電するにも2倍以上も多くのCO2を排出する発電方式です。世界的にも「地球温暖化を促進する」として「脱石炭」の方向に向かっているなかで、日本ではいま、「燃料代が安いから」という理由で、次々と新設されようとしています。
その一方で、電力小売り業者には、「非化石電源を44%」に高めることや、「CO2排出係数を1キロワットあたり0・37キログラムに抑えること」といった規制がかけられることになっています。再エネ電力がさまざまな制度改悪によって抑制されているなかで、電力小売り業者は、石炭火力の電気を販売しながら、もう一方でこの規制も守らなければならないとなると、結局、再エネでない非化石電源、すなわち「原発」の電気を使ってバランスをとらざるをえないことになります。つまり、石炭火力発電を増やせば、おのずと原発も増やさなければならないという、原発誘導の仕組みになっているのです。
いまテレビで派手に宣伝している東京ガスも、こうした石炭火力発電の電力を使おうとしているという問題を含んでいます。
(次回に続く)
(新聞「農民」2016.3.21付)
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