映画「遺伝子組み換えルーレット
―私たちの生命のギャンブル」上映会
原作・脚本・監督 ジェフリー・M・スミスさんの講演(要旨)
ドキュメンタリー映画「遺伝子組み換えルーレット―私たちの生命のギャンブル」の上映と、原作・脚本・プロデュース・監督のジェフリー・M・スミスさんの講演会が2月27日、都内で開催されました。スミスさんの講演要旨を紹介します。
ジェフリー・M・スミス
「責任ある技術者協会」創設者。1958年、アメリカに生まれる。遺伝子組み換え問題の専門家、消費者運動のリーダーとして国際的に活躍。主な著書に『偽りの種子―遺伝子組み換え食品をめぐるアメリカの嘘と謀略』(家の光協会2004年)。
GM食品食べなくなったら
健康状態がよくなった
アメリカの調査で改善例続く
「遺伝子組み換え食品を食べなくなってから健康状態がよくなった」。これまで何千人もの人たちからこのような声を聞きました。
アメリカ人に増えているさまざまな病気に比例して、除草剤ラウンドアップの使用量も増えている結果がでています。
家畜やペットも、GMのえさを食べ続けた結果、胃や腸の消化器、免疫、生殖機能などに影響がでて、成長の遅れや老化が早く進行するなどの現象も起きています。逆に、えさを非GMに替えると、改善したという結果が得られています。
GM導入の前と後
アメリカ人3600人を調査しましたが、GM食品をやめたことで、胃腸など消化器がよくなり、発疹や湿疹、頭痛、関節の痛み、高血圧など改善されたという結果がでています。とくにオーガニック(有機)食品に替えたことによって、よくなっています。
たとえば腸内感染で亡くなる人は、GM導入前はほとんどいませんでしたが、導入後は急激に増えていきました。
ラットの実験で、GM大豆を食べさせると、腫瘍(しゅよう)がでてきました。子どもの死亡率も高く、生まれた子どもも小さなものでした。
また、ラットにラウンドアップをまいても枯れないGMトウモロコシを与えたところ、腫瘍や臓器損傷、早死にが出ました。
現在、GMサケやリンゴが認可されたほか、モンサント社は、昆虫、魚、家畜、木、海藻、バクテリアなどのGM化をねらっています。自然をGMに入れ替えようとしています。GMが環境中に放出されれば汚染され、それが何世代にも続くことになります。
GM食品を敬遠して
売り上げ増の企業も
いま、自然を守るのか、GMのような人工的なものを守るのか、重要な段階にきています。
そういうなかで、私たちが身近にできることがあります。それは、食生活を変え、他人にも伝えることです。それは、人々の消費行動を変えるチャンスでもあります。
私たちによるGMを拒否する運動で、発想、消費行動を変えるチャンスです。ネスレやユニリーバなど、GMの使用をやめる企業が現れました。食品企業でも、「売り上げが減る」として、GM食品を敬遠するところもでてきています。
映画の公開後の2013年、自然食品業界の売り上げが伸び、他の食品産業も続きました。その後、多くの企業も「NON―GMO」のラベルを活用しています。
みなさんの参加と協力が
自然界・生物守ることに
恐れる必要はない
みなさんの参加と協力が、自然界とすべての生物、将来の世代を守ることになります。
「あなたは勇気がありますね」と言われますが、勇気がいるのは、恐れがあるからです。われわれは、何も恐れてはいません。
今度、来日するときは、勝利をみなさんとともに祝いたいと思います。健康な食生活を取り戻し、非GMへの転換を祝いたいと思います。
(新聞「農民」2016.3.14付)
|