「農民」記事データベース20160229-1203-08

売り上げ目標1億円だ

顔の見える物づくりで
地域も生産者も元気に

いま注目の須賀川産直センター(福島)

 「年間を通して出荷し、スーパーの野菜売り場スペースをさらに広げましょう。同時に仲間づくりも進めましょう」――。福島県の農事組合法人須賀川産直センター・松川正夫代表理事が、インショップ生産者総会(1月28日)で出荷生産者を前にこう呼びかけました。震災・原発事故を経ても売り上げを着実に伸ばしてきた須賀川産直センターのインショップの取り組みがいま注目を浴びています。


インショップに地産地消コーナー
震災・原発事故後も売り上げ増

 店に入ったらすぐコーナーに

 福島・中通りに拠点をもつスーパー、リオンドールの須賀川東店。入店するとすぐに、須賀川産直センター専用の地産地消コーナーが目に入ります。

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「店に来たらまずここに寄るの」と人気の地産地消コーナー

 「店に入ったらまずここに寄って、気に入った野菜を買っていくの。毎回楽しみにしています」(石川町に住む30歳の女性)、「新鮮で作った人の顔が見えるのがいいですね」(天栄村に住む60歳の女性)。地元住民のほか近隣市町村からも買い物客が訪れます。

 須賀川産直センターのインショップの取り組みは2003年度に始まり、当初は年間売上金額590万円だったのが、その後着実に伸ばし、震災・原発事故を受けても売り上げは落ちず、15年度は、9600万円を記録しました。会員も当初の23人が3倍以上の71人に飛躍的に増えました。出荷店舗も、リオンドールのほか、スーパー「いちい」が加わり、双方の計6店舗で実施しています。

つくり方を工夫し
丹精込めて消費者に

 地場野菜もっと名物商品ほしい

 生産者総会で、松川代表理事は「みなさんの努力で伸ばしてきました。販売方法や作り方をもっと工夫し、消費者が喜ぶものを追求しましょう。みんなで目標の1億円を達成しましょう」とあいさつしました。

 来賓として出席した、リオンドール須賀川東店の赤沼亘店長は、「売り上げを伸ばしてきたのも、献身的に売り場をチェックし、農作物を丹精込めて育て、消費者に届けているからです。地場野菜をもっと採用し、ここにしかない名物商品をつくってほしい」と期待の言葉を述べました。

楽しく作って収入も定期的に
若い農業者の力を集めて

 生産者仲間と自由気ままに

 15年度、売り上げ4位を記録し、新たにインショップ生産者会の代表になった鈴木清治さん(42)=須賀川市=は、就農して12年の期待の若手です。米のほか、多品目の野菜に挑戦中。「野菜のつくり方も他の生産者から学べて、楽しく作っています。定期的に収入があるのもいいですね」とインショップのメリットを語ります。

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「地域振興に農業は欠かせない」と語る鈴木さんは若い世代のリーダーです

 須賀川農民連の青年部長も務める鈴木さんは、「若い人を多く集めて組織を維持、継続していけば、こういう取り組みも進むと思います。若者に農業に興味をもってもらい、ものづくりをしながら、地域のことも考えていきたい」と先を見据えます。

 産直センター理事で、米研究会の会長を務める小椋孝行さん(71)=矢吹町=も、米のほか、多品目の野菜を手がけます。「農業は生活のためというよりも健康のため。貯めたお金で旅行に行くという楽しみもあります。野菜づくりはおもしろいですね」と笑顔をみせます。

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「野菜づくりは健康のため」とものづくりを楽しむ小椋さん

 小椋さんの楽しみは、出荷先でコーヒーを飲みながら、生産者仲間と語らうこと。いちい須賀川東店では、出荷者が朝6時に、売り場横の飲食スペースのテーブルを囲み、コーヒーで一息つきながら交流します。この日の話題は、甘利前大臣の辞任からブロッコリーの栽培・管理など、政治や農作業のことを自由気ままに語り合いました。

 大きな農民連を築いていきたい

 インショップの生産者会は、栽培学習会や視察研修など、技術の向上、販路の確保に力を入れています。

 須賀川地方農民連も、昨年に「ニュース」の発行を再開し、新日本婦人の会との交流や、新事務所の工事、米栽培現地講習会のことなどを会員に伝えて激励しています。丹治実会長は強調します。「インショップの取り組みは、ものづくりを通じて会員を増やすことにつながっています。取り組みをさらに進め、大きな農民連を築いていきたい」。須賀川地方農民連の挑戦は続きます。

(新聞「農民」2016.2.29付)
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2016年2月

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