「農民」記事データベース20160229-1203-01

米価暴落に負けるもんか

新潟県農民連が米作り交流会


栽培技術・販路拡大で
農業経営を守ろう!

 新潟県農民連は米価暴落で経営を圧迫されるなかで、米の栽培技術と販路拡大で「所得向上」を目指そうと、米作り交流会を2月8日に長岡市下川西コミュニティセンターで開きました。

地力の向上を図って
農薬・肥料少なく
収量構成・施肥細かく

 経費削減にもなる

 交流会では3人からの報告があり、多収穫を実践する会員の青木勉さん(弥彦村)は「土づくりと根を育てる」栽培をテーマに報告。昨年は天候不順によって大半の農家が不作となったなかで、12俵を収穫した青木さんは「稲刈り後にすぐ腐食剤を散布して耕すことで分解を早めるので、春の生育に良い影響をもたらす。田起こしは柔らかい状態で耕すと団粒構造を壊してしまい、稲わらが腐りにくく、根を伸ばしにくい土壌となってしまうので、行わないようにして地力の向上を図ります。地力向上で元肥も少なくてすむため、経費節減にもつながる」と説明しました。

 コシヒカリは12〜13枚の葉数が一般的ですが、平均15枚、畦側1本植えで17枚も葉を出した青木さんの栽培には参加者からも驚きの声が聞かれました。

 自然環境と健康を守ろうと仲間と取り組んだことがきっかけで自然栽培米に取り組む高橋正さん(新潟市北区)は「肥料をやらないため硝酸態窒素量が少なく、作物の腐食が遅くなる。健康的にも良い」と話し、農薬や肥料を使わないために除草作業の苦労はあるものの、6〜7俵くらいの収穫は見込むことができ、1俵3万円以上で業者へ販売できる状況を報告しました。

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稲の栽培方法を交流しました=2月8日、新潟県長岡市

 苗作りの管理大切

 県連役員の佐藤恒夫さん(長岡市)は、安全・安心な栽培と10俵収穫の技術がテーマ。「初めに収量構成をきちんと出すことが必要」と述べ、45株(1坪あたり)×25本×110粒×80%×21グラム(1000粒あたりの重さ)=623キログラム(10アールあたり)と例にあげて苗作りの管理が稲作の8割を占める大切さを訴えました。

 塩水選は1・15%の少し強めで行い、出穂40日前までの深水管理(15センチメートル以上)で段階的な落水をさせるなど、疎植で太茎による倒伏回避、適正穂数確保について説明しました。

 施肥設計では、米600キログラムに必要な窒素は12キログラムですが、自然界にある窒素4キログラムを考慮し、元肥には1〜2キログラム、穂肥は出穂40日前に過リン酸石灰20キログラム、37日前に窒素2〜3キログラム、27日前に窒素1〜2キログラム、5日前に過リン酸石灰20キログラム、2日前に窒素1キログラムと細かく施肥することの重要さを話しました。

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見学者が訪れる佐藤恒夫さんの田んぼ

 安全性の面では近年、問題となっているネオニコチノイド系農薬の使用について「ほとんどの殺虫剤はネオニコチノイド系で子どもの発育障害に影響があるためにEU(欧州連合)では使用を一部禁止している。率先して安全・安心な栽培に取り組んでいこう」と佐藤さんは呼びかけ、適期の畦草管理や忌避剤(ニーム成分など)でのカメムシ対策の実践が報告されました。

 準産直米への出荷

 ふるさとネットワークからは湯川喜朗事務局長が米をめぐる情勢と多様な米作りと販路、準産直米への出荷を訴え、参加者からも関心が寄せられる交流会となりました。
(新潟県農民連 鈴木亮)

(新聞「農民」2016.2.29付)
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2016年2月

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