TPPは徹底した農業破壊の協定「除外」規定は存在せず
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「TPP協定の全体像とその問題点」の報告集会=2月5日、都内 |
アメリカ通商代表部(USTR)傘下の「貿易のための農業諮問委員会」は「どの物品も除外されなかった」ことを勝ち誇っています。除外や再協議(関税撤廃・削減義務の取り扱いを将来に先送りすること)の対象となる品目は、これまで日本が結んできたすべてのEPA(経済連携協定)には含まれてきました。TPPに関する国会決議が求めたのも、重要品目を「除外」「再協議」とすることでした。
関税撤廃を決めた品目の撤廃時期の繰り上げについても、発効した年から要求があれば協議に応じなければなりません。
農産物市場アクセスを拡大するための仕組みはほかにも存在します。物品市場アクセスを拡大するために物品貿易に関する小委員会を設置し、さらに農産物市場アクセスを拡大するための「農業貿易に関する小委員会」を特別に設けます。
TPP調印に抗議してアメリカ・シアトルで行われたデモ(2月3日、フラッシュ・ザ・TPP!のウェブサイトから) |
農業貿易に関する小委員会も、GM農水産物貿易の条項も、日本がこれまで結んだEPAにはなかったもの。GM農産物の貿易の条項は、アメリカが結んだ貿易協定にも存在しません。
アメリカ農務省はGM条項について、(1)意思決定の透明性の促進、(2)微量混入の際に貿易の中断を避けるための協力、(3)遺伝子組み換え農水産品の時宜にかなった承認を締約国に約束させると称賛しています(別項)。
他方で、TPPが新たに設置する農産物の品目別セーフガードは、いずれも期限がきたら廃止となる仕組みになっています。7年後の5カ国との見直し協議の対象には、セーフガードも含まれているため、改悪の恐れもあります。
USTRは、TPPの概要説明で、アジア太平洋地域の中間層が2030年には32億人に達し、農産物の「世界最大の購買者となる」と指摘。この地域を「長期にわたるアメリカの成長基盤」にするため、農産物市場を支配する意図を公言しています。
「TPPは、遺伝子組み換え(農業バイオテクノロジー)の項目を米国のFTAに初めて盛り込んだ。TPP協定は、遺伝子組み換え技術が、増大する世界の人口に持続可能な方法で食料を供給する重要な手段であることを認めるとともに、意思決定プロセスの透明性の促進、微量混入の際の協力、遺伝子組み換え生産品の時宜にかなった承認の促進をTPP諸国に約束させる条項を盛り込んでいる。また、遺伝子組み換え生産品の貿易に関する事項に対処する任意の作業部会を創設する」
[2016年2月]
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