「農民」記事データベース20160215-1201-09

旬の味


 廃棄カツの転売が発覚しました。思い出すのは、1955年夏に起こった乳児1万2000余人が中毒、130人死亡の森永ヒ素ミルク中毒事件です。なぜ乳児の主食であるミルクに猛毒ヒ素が混入したのか? 経路をたどると産業廃棄物の転売です▼この時使われた乳質安定剤の「第2リン酸ソーダ」の元をたどるとボーキサイトからアルミニウムを製造する過程でできた廃棄物だったのです。瀬戸物の釉薬(ゆうやく)に使えるのではないかと転売されたモノがいくつかの会社を経て、脱色精製されて、第2リン酸ソーダに化けていました▼最初の工場ではヒ素混入がわかっていたので、厚生省(当時)に照会、返事が来たのは事件発生後の11月で、しかも、転売許可の通知でした。混入異物が化学物質である時の被害は甚大です▼「金もうけ競争」「労働条件の悪化」「国の監視体制の不足」と食品公害発生の条件はすでに十分にそろっています。さらにTPPによる規制緩和と輸入加工品の増加は食の安全と健康を一層脅かします。

(風)

(新聞「農民」2016.2.15付)
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2016年2月

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