TPP
選択肢は“関税撤廃”のみ
“影響ない”の農水試算つく
農民連・食健連 農水省交渉
農民連と全国食健連は2月4日、農水省に対し、TPPに対する要請を行いました。
冒頭、全国食健連の坂口正明事務局長が「TPP『大筋合意』で重要5品目のすべてで輸入割当の拡大や関税撤廃を受け入れ、さらに他の農畜産物でもほとんどで関税撤廃を受け入れており、日本の農業は壊滅的な打撃を受ける。それにもかかわらず、農水省は『対策をとるので国内農業に影響はない』と言うのはおかしい」と指摘しました。
さらに、TPP協定文では、関税撤廃時期の繰り上げの協議や「守った」といわれる重要5品目(米、麦、牛乳・乳製品、甘味資源作物、牛・豚肉)でも7年後に再協議するしくみがつくられていることを指摘し、「関税撤廃が原則ではないか」とただしました。
農水省は、「再協議」について「協議のテーブルにつくだけであり、関税撤廃に応じるとは決まっていない」と述べたのに対し、参加者は、「今までのFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)と違って、TPPは、関税撤廃の除外品目はなく、すべての品目を対象にしていることが大問題だ。協定でも関税撤廃の方向で再協議するとうたっている」と反論しました。
このことについて、農水省も「交渉のベクトルは撤廃の方向に向いている」と認め、「撤廃以外の選択肢はなく、従来のEPAとは異次元のものだ」との認識を示したのに対し、参加者は「そのことを国民にきちんと説明すべきだ」と要求しました。
また、政府の農林水産物の生産額への影響試算について、「需要は一定で輸入は増えない」という前提になっていることを批判。「関税がゼロになって輸入が増えないということ自体、考えられない。影響がないという前提では対策などありえない」と指摘しました。
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試算の問題点を追及する全国食健連のメンバー |
農水省が、「競争力をつけるなど体質強化対策を実施する」と述べたのに対し、参加者は、「今求められるのは、家族農業など多様な農業への支援だ。政府のやろうとしていることは逆行している」と批判しました。
最後に、「生産者はこれからどうしたらよいのか、不安を抱えたままだ。TPP協定の国会批准を阻止するために全力をあげる」と表明しました。
(新聞「農民」2016.2.15付)
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