「農民」記事データベース20160208-1200-03

政府は責任認め公式謝罪を

「慰安婦」問題で集会


韓国の被害者が生々しく証言

 「日本政府は、『慰安婦』問題での日本軍の責任を認め、政府として公式に、心から、謝罪してほしい」――日本軍「慰安婦」の被害者が暮らす韓国の「ナヌムの家」から、被害者のイ・オクソンさんとカン・イルチュルさん、館長のアン・シングォンさんを迎えた証言集会が1月25日、衆議院議員会館で開催されました。日本婦人団体連合会(婦団連)や新日本婦人の会、民主医療機関連合会(民医連)などでつくる「2016ナヌムの家のハルモニを迎える会」が主催し、女性たちや看護学校生など約300人が証言に聞き入りました。

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証言するイ・オクソンさん(右)とカン・イルチュルさん

 当事者の同意も説明も何もなく

 日本軍「慰安婦」をめぐっては、昨年の12月末に日韓外相会談が行われ、(1)「日本軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけ」、「日本政府は責任を痛感する」、(2)韓国政府が設立する被害者支援のための財団に、日本政府は10億円の「支援金(賠償金ではなく)」を拠出する、(3)「(この合意をもって)最終的かつ不可逆的に解決された」――などとする「日韓合意」が発表されました。

 アン館長は、「この『合意』は被害を受けた当事者の同意を得ることも、説明もいっさいなく、日韓両国政府が勝手に合意したもので、私たちはとうてい受け入れることはできない。これは人権の問題であり、請求権の問題だ」と批判し、あらためて日本政府による公式な謝罪と、法的賠償を求めました。

 多くの少女たち自ら命を絶った

 イ・オクソンさんは、「私は15歳で大通りで日本の軍人に連行された。毎日殴られ、むち打たれ、一日40〜60人もの日本兵に強姦(ごうかん)された。あまりにつらかったので、多くの少女が山や川から身を投げて、自ら命を絶った。慰安所は、牛馬をと殺するように人を殺す“死刑場”だった。そして日本は戦争に負けると、私たちを中国に置き去りにした。その時、私はまだ15歳だった」と証言しました。

 カン・イルチュルさんも16歳で中国に連行され、韓国に帰国できたのは1999年、72歳の時でした。今なお頭に残る大きな傷跡を見せながら、「本当の謝罪とは何でしょうか。私たちはかつて日本軍がしたことを、この目で見ています。私たちはお金が欲しいのではありません。口先だけの謝罪ではなく、きちんと歴史の事実と向き合い、日本国の代表者として安倍首相は被害者に直接謝罪するべきです」と述べ、安倍首相との面会を強く求めました。

 今回の「合意」をきびしく批判

 日本軍「慰安婦」問題の歴史と現状について講演した中央大学の吉見義明教授は、「慰安婦」問題での日本軍の主体的な責任を明らかにするとともに、その責任をいまだに認めず、歴史教育などの再発防止措置の約束もな

く、当事者の意向も無視して「最終的かつ不可逆的に解決された」とする、今回の「日韓合意」を厳しく批判しました。

(新聞「農民」2016.2.8付)
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2016年2月

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