全国委員会の発言から
TPP反対を真剣に叫ぶ
農協組合長と力合わせれば
日本販売農業協同組合連合会 矢崎 和廣会長
(大分・下郷農協代表理事組合長)
昨年は、農協をめぐって変革の年でした。農協改革をJA全中が受け入れて以降は、がらっと農協の状況も変わりましたし、今後の考え方も変えなければいけないという状況になりました。
「改革」で農協中心の 生き残り考える全中
特に、組合員農家が主人公ではない、農協中心の生き残りが始まるのではないかと危惧しています。農協大会では、「農業者の所得増大」ということを柱に掲げてはいますが、これは個々の農家の所得向上ではなく、企業参入でも何でもいい、農業生産額さえアップすればいい、ということだと思います。TPPも含めて、今の政権が続く限り、また、たたかわない限りは、この状況は変わらないと思います。
12月14日に農協の九州ブロックの組合長を集めた会議が福岡であり、私は、奥野会長本人に本心を聞きたかったので質問しました。会長は同じように「国会周辺でのデモや座り込みのようなやり方は時代遅れでおかしい。次のステップに行かなければならない」と述べました。
それを聞いていたほかの組合長たちも発言し始め、「今まで自分たちがやってきた反対運動は何だったのだ。なぜたたかわないのか」という声がどんどん出てきました。私は、真にTPPに反対しているのは自分だけだと思っていたのですが、九州のなかでも一つの農協を背負う組合長さんたちは、真剣なのだと感じ、私も勇気をもらいました。組合長さんたちと力を合わせれば、変えられるのではという一縷(いちる)の望みを感じました。
組合長の自民公認に不満でて退席次つぎ
TPPをめぐっては、声をあげなければならないし、反対運動の先頭に立たなければならない農協の立場で、夏の参議院選挙の比例選挙区から、熊本の農協の組合長が48歳の若さで立候補するということで、最初にその話を聞いたときは、私ももろ手をあげて喜びました。
JA全国大会のときに、大会後、その表明をするということで、別室に集められたら、「自民党公認で出ます」ということでした。「自民党ですか?」と質問した人がいまして、「与党に入ることが大切なのだ」ということでした。
九州ブロック会議の後も、立候補する熊本の組合長から「みなさんにお願いしたい。時間をとってほしい」ということでした。会議自体がTPPで紛糾していて、1時間もオーバーしても各組合長の意見を聞こうとしない執行部に、みなさんも帰りたい状況になっていました。私も「もういいです。自民党公認なので帰ります」と言って席を立ちました。そうしたら多くの参加組合長も席を立ちました。
大分から変えようと高い志の決意を表明
こうした組合長たちのTPP反対の思いを前向きにしてくためにも、反対の意思をちゃんと示して、いろいろなところで発言しながら、行動に移るようにできないかと考えています。私も一農協に関わり、TPPに反対する一人として、大分から変えていこうという高い志の決意を表明して発言とします。
(新聞「農民」2016.2.1付)
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