TPP反対でも戦争法廃止でも組織拡大でも
熊本県農民連が大きく飛躍
“TPP反対の講演会開こう”
初めて団体に広く呼びかけて
熊本県農民連は今、TPP反対、戦争法廃止、組織拡大などで大きく飛躍しています。笹渕賢吾会長がその取り組みをリポートします。
TPP「大筋合意」を受けて、熊本県農民連は、TPPの学習会を開こうと新日本婦人の会や県労連に呼びかけて、実行委員会として取り組むことになりました。農民連が呼びかけて動き始めたのは初めてのことです。講演会への協力の申し入れは、JA県中央会、県森林組合、県漁協、グリーンコープ、医師会、建築団体、自治体、保守の議員などに広く呼びかけ、各野党にも案内しました。
11月29日に、東京大学の鈴木宣弘教授を招いて「TPP撤回のたたかいはこれからが正念場」と題して熊本市内で講演してもらい、参加者は200人を超えました。農民、消費者、自治体職員、議員のほか農協組合長も2人参加しました。
鈴木教授の講演は、内容が豊富で笑いも起きるなど時間はあっという間に過ぎていきました。質疑応答で、最初に質問したのは、県家畜商組合長でした。JA中央会が、TPP批准後の事後対策を政府に求めていることに対する批判が出され、参加者からも、参院選で自民党の比例代表から立候補する農協組合長に「TPP断固反対の公約を裏切った自民党からなぜ出っとか、納得でけん」と怒りの声が上がりました。
|
鈴木東大教授を招いて開かれた講演会=11月29日 |
参加者のアンケートからは「TPPの本質、問題点を詳しく理解できました。消費者の立場から応援しています」「最近の動きとして、国民が民主主義を守る運動に立ち上がり、野党の後押しをしているのをみると、TPPの問題も関係者だけでなく、国民の動きにして、国民が後押しをしていくようにしていきたいと思った」などの感想が寄せられました。
実行委員会では、今回の講演会をスタートとして、引き続き、TPPを批准させないことを一致点にして、県内でより多くの団体、個人が結集する運動を繰り広げていくことにしました。
“TPPなんさま撤回の会”結成
各地域でも共同をすすめよう
1月23日に、講演会に参加した団体と個人に呼びかけて、熊本市内で「TPP大筋合意撤回を求める懇談会」が開かれました。「懇談会」には、団体、個人の参加で21人が集まりました。
参加者からTPPの危険性が指摘され、何としてもTPPを撤回させようと意思統一。「TPPなんさま撤回の会」(※なんさま=なんとしてもの意)を結成し、代表に鳥飼香代子熊本大学名誉教授、事務局に農民連、新日本婦人の会などから役員が選出されました。
今後は、(1)各地域に「撤回の会」を結成すること、(2)月1回の街頭宣伝と署名に地域で取り組むこと、(3)地域の農協とTPP問題で懇談し、地域農業を守る運動を進めること、(4)市町村議会でTPP撤回で一致する議員と共同を進めること、(5)消費者と安全な農産物について対話、宣伝していくこと――などを確認しました。
講演会開催を取り組むなかで
阿蘇に農民組合誕生
「大筋合意」撤回請願を提出
たたかいの第一歩踏み出す
鈴木教授を招いての講演会開催に取り組むなかで、農民連の組織がない地域、阿蘇に農民組合を結成することができました。4人からのスタートですが、地域内の市町村12月議会にTPP大筋合意撤回を求める請願書を提出しました。結果は不採択でしたが、地域でたたかう農民連が第一歩を踏み出しました。
山中速人会長の息子の翔太さんはまだ高校生ですが、農業大学校をでて農業を継ぎたいと、今から、トラクター、コンバインに乗り、農作業を手伝っています。
|
阿蘇農民組合の山中会長(左)と息子の翔太さん |
広大な阿蘇に農民連をつくろうと奮闘が始まっています。
熊本から日本の夜明けを
市民・野党統一候補
阿部広美さんが立候補
昨年、熊本では、全国に先がけて、学者、弁護士、「シールズ」、「パパママの会」、「平和を繋ぐ会」、9条の会など50団体が、民主党、共産党、維新の党、社民党、新社会党や労働団体などに統一候補で参院選をたたかうよう要請し、12月23日、統一候補として、弁護士の阿部広美さんが立候補することになりました。
熊本は保守王国ですが、水俣病や農民のたたかいである川辺川ダム建設阻止、阿蘇の立野ダム建設反対のたたかいなど、団体と個人、弁護士の連携した共同のたたかいの歴史があり、これが統一候補誕生に結びついたのだと思います。
1月10日には、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回、安全保障関連法の廃止、立憲主義と民主主義を取り戻す熊本集会が行われ、阿部さんもあいさつしました。
熊本から日本の夜明けを切り開き、戦争法廃止、TPP阻止、国民連合政府の樹立のために全力でがんばる決意です。
(新聞「農民」2016.2.1付)
|