和歌山・紀の川
夫婦そろって就農
助け合いがんばる
小林 元さん(35)陽子さん(33)
無農薬無化学肥料で
在来種野菜の少量多品種栽培
消費者からの声が励みに
温暖な気候の和歌山県紀の川市。夫婦で新規就農し、がんばっている小林元さん(35)、陽子さん(33)は就農6年目を迎えます。
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畑でポーズ!仲の良い2人です |
地元の産直店やイベントに出荷
現在は無農薬無化学肥料で在来種野菜の少量多品種栽培をしています。地元店舗の産直コーナーやイベント出店、最近ではネット販売業者にも出荷を始めました。また、2011年からはトウモロコシのオーナー制度のようなことも始めました。
主に外に売りに行くのは陽子さんが担当。「何もないところから始めて大変な思いはしたけれど、お客さんが『ほかの野菜と全然違う。なんで!』って言ってくれるのがうれしい」と話します。「イベントで知り合ったお客さんから『今年一番うれしかったことは、元ちゃんファームで陽ちゃんに会えたこと』というメールをもらって、もっと喜んでもらいたいと思った」と消費者とのつながりが何よりの励みになっています。
夫婦2人で苦労をのり越え
みんなが笑顔になれるように
畑にいて大声でケンカもしたが
2人で畑にいて大声でケンカすることもよくあります。「作物の生育が気になって、やろうとしていた作業と違うことを始めてしまう」という陽子さんに元さんは「やさしいから困っている子(野菜)を見るとほっとけない」と苦笑いです。「(元さんが)首を痛めたとき400キロのぼかしを混ぜてくれたり、本当に頼りになるんです」。
陽子さんは「明るい性格で何も考えていないように見えるが、すごい努力をしている。有言実行を意識していて、芯(しん)がブレないすごい人」と元さんを評します。
平和活動として農業を選んで
15年は様々なトラブルに見舞われた年でした。元さんが肛門周囲膿瘍(のうよう)で2週間寝込み「膿(うみ)と一緒に張りつめていたものが全部出ていった」状況になり、仕事をする気力がなくなりました。その中でも陽子さんは「どうせすぐに動きたくなるだろう」と、そんな元さんを受け入れ支えました。その甲斐あって体と一緒に元さんの気力も回復。「農業のスタートラインにもう一度立たせてもらった気がします」
ピースボートへの参加がきっかけで出会った2人。さまざまな運動の現場を見たいと2人で日本一周をしていたといいます。「いろんなところでうそやごまかし。まるで『まやかしジャパン』だと思ったなかで、個人でもできる平和活動として農業を選びました。農業なら2人でできますし」。戦争法の採決日には「後悔したくない」と国会前に駆けつけていました。
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元ちゃんファームの3つのポリシー |
5年の月日経て周りの信頼得る
5年間を振り返ると「もう一度同じことをやるのは絶対無理」といいます。「初めはまわりの農家から『何バカなことやっているんだ、嫁さん泣かせる気か』といわれていたのが、だんだんと認めてもらえ、励ましてもらえるようになってきた」と周囲の変化を語ります。今では和歌山有機認証協会の理事も任されています。
今後は「体験農業ができる畑がほしい。そのためにはパワーも人もいるけど何としてもやりたい。みんなが笑顔になれる楽しいことをしていきたい」とますます意欲を燃やす2人です。
(新聞「農民」2016.1.25付)
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