「農民」記事データベース20160125-1198-01

農民連全国委員会ひらく

運動の“核”となる仲間づくりを

TPP阻止の共同の発展を
仲間増やし生産と地域守ろう

 農民連は1月13、14の両日、大会に次ぐ決定機関である全国委員会を都内で開きました。2日間を通して44都道府県53人の全国委員と役員、オブザーバー含めて105人が参加しました。


 7月の参院選で安倍政権退陣に

 白石淳一会長が開会あいさつ。戦争法の強行、TPP「大筋合意」、沖縄・新基地建設など暴走を続ける安倍政権と国民との矛盾が広がり、とりわけ昨年の戦争法廃案の空前のたたかいを紹介しました。

 また、TPP「大筋合意」で、政府、マスコミが決着したかのように振る舞い、輸出や国内対策など、目くらましに躍起になっている一方で、農協組合長の9割以上が「国会決議が守られたとは思わない」「安倍農政を評価しない」と回答していることを指摘。「農協との総対話で、この声を安倍政権ノーへとつなげよう」と訴えました。

 「今年の最大のたたかいは夏の参議院選挙。暴走政権を倒すことがTPP阻止の確かな道になる。戦争法や沖縄など国民的運動に合流して安倍政権を退陣に追い込もう」と呼びかけました。

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105人が参加した農民連全国委員会

 真嶋良孝副会長が、「TPPは、二重の意味で決着済みではない、たたかいはこれからだ」と切り出し、「TPPは、史上最悪の農業破壊協定だが、これでもまだ中間合意。TPPのゴール(完全自由化)に向けて再協議規定が盛り込まれており、エンドレスに続く」と述べました。

 また、日本かアメリカの議会のどちらかが否決すれば成立せず、日米2国だけでも成立しないことを示し、アメリカ議会の審議開始は5月18日以降、批准は早くて11月の大統領選挙後になり、「否決の可能性もある」と強調しました。

 諸要求実現する力をつけてこそ

 常任委員会を代表して吉川利明事務局長が、決議案の強調点を報告しました。

 「一年間のたたかいの到達と今後の重点」として、TPPの全国でのたたかいをリアルに報告した上で、失望している人々に勇気と展望を与えた農民連の大きな役割を強調。TPP路線への最大の反撃は「生産を守ること」だと力説し、集落営農や助け合い組織による地域の保全・維持、多くの国民に消費してもらう合意作り、これらの運動を支える農民連食品分析センターの機能強化について報告しました。

 また、農民の多様な要求実現を重視してきた各地の取り組みを報告し、「要求を実現する力をつけてこそ、広範な農民を結集させることができる」と強調しました。

 最後に、組織建設について報告。「農家が懸命に模索しているなかで、農家の立場で知恵を出し合い、農家が身を寄せられる組織は農民連しかないことが全国の実践で裏づけられた」「求められる役割に対してあまりにも組織が小さすぎる。組織拡大は急務」と呼びかけました。

 JAとの懇談・要請を旺盛に

 2日間の討論で、29人から農村の実態や農民連の役割が語られました。

 日本販売農業協同組合連合会(日販連)の矢崎和廣会長(大分・下郷農協組合長)は、JA全中の奥野長衛会長が「TPPの反対運動はやらない。国会前での座り込みや全国集会は時代遅れ」と表明したことを紹介し、「今までの運動は何だったのか」「なぜたたかわないのか」という質問が多くの組合長から出されたことを報告。「地方の組合長と力を合わせれば展望を切り開くことができると確信した」と述べました。

 香川県の福井利夫事務局次長は、TPP、米価問題で自治体回りを行い、1県8市6町に陳情を提出するなかで、自治体ごとに組織をつくって独自に要請する必要性を実感したと述べました。

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全会一致で決議を採決しました

 急がれる後継者づくり

 多様な要求にもとづく組織づくりの取り組みも紹介され、岩手県の岡田現三事務局長は、「集落での助け合いが大切」と、日本型直接支払いを受けるために、環境保存会を立ち上げ。そのなかで転作や備蓄米などの取り組みを地道に呼びかけながら、盛岡農民組合は会員で1・5倍に組織を前進させたことを報告。新潟県の鈴木亮事務局長は、米価暴落に負けない米づくりとして、(1)稲の生理を生かした12俵どりの栽培技術、食味向上、(2)無農薬、自然栽培米でコスト削減、有利販売などの工夫した米づくりを生産者同士で交流しようと、米作り交流会を開催予定であることを報告しました。

 千葉県の越川洋一副会長は、『TPPブックレット』を常に持ち歩き、様々な団体に広げ、55部を普及、「100部をめざす」と表明。常任委員の沖津由子さん(青森)も越川副会長に学び、新日本婦人の会との産直、交流を通じて普及している経験を報告。「お互いに負けられない」とエールを交換しました。

 後継者づくり、世代交代を進めることの必要性も出されました。農民連青年部の植田修部長(京都)は、10年前に就農したときは、「3年ももたない」と言われましたが、周りの協力で独立6年目を迎えたことを振り返り、「青年にチャンスを与えてほしい。各都道府県に青年部をつくろう」と呼びかけました。

 大阪府の中西顕治事務局長は、40代、50代の府連役員の間で「5年後、10年後の府連をどうするか」を真剣に議論していることを紹介。石川県の宮岸美則会長は、前事務局長の突然の不幸で県連活動を苦労してやってくるなかで、若手職員が急成長し、税金や組織拡大に意欲的に取り組んでいることを報告しました。

 次期大会を増勢で迎えよう

 まとめの報告で吉川事務局長は、「昨年1年間の取り組みで、会員や読者を増勢で迎えた県が19府県で4割になった。ここに新しい芽が生まれている。新しい時代の幕開け。大志をもって、今年1年の奮闘で、次期大会を組織の増勢で迎えよう」と締めくくりました。

 日本共産党の畠山和也衆院議員が来賓あいさつを行いました。

(新聞「農民」2016.1.25付)
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2016年1月

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