すい都大阪
伝統食まつり
伝統の味を天満の天神さんで
地に足のついた本ものの
食の文化を発信しよう
「伝統の味を天満(てんま)の天神さんで すい都大阪 伝統食まつり」が12月6日、大阪市の大阪天満宮の境内で開催され、多くのお客さんでにぎわいました。
この伝統食まつりは、全国各地の食文化を訪ねる「伝統食列車」に取り組んできた「日本の伝統食を考える会」を中心に、「食」と「農」に関わる多彩な団体・個人で実行委員会を今年6月に結成し、準備してきました。
会場は、「天下の台所」と呼ばれる大阪のなかでも、かつては青物市場がおかれ、物流と食文化の発信地であった天満かいわいの中心、「天満の天神さん(大阪天満宮)」です。
「歴史的にも食文化とのかかわりの深い地で、日本の伝統食や、それを支える味わい豊かな農林水産物を広く皆さんに味わっていただき、地に足のついた食文化のさらなる発展をめざしたい」――当日は、この開催趣旨に賛同して、「日本の伝統食を考える会」が拠点を置く大阪をはじめ、これまで伝統食列車のとりくみなどでつながった全国の食や農のグループや団体、食品メーカーが作った“ほんまもん”の食品・農産物が勢ぞろいしました。地元、大阪の天王寺カブラや田辺大根、国産大豆の豆腐など、どれも逸品ぞろいです。
農民連も、大阪、奈良、富山などが出店。他にも岩手・てご舎のナタネ油などが並びました。「伝統食を考える会」の伝統食コーナーでは、田辺大根の田楽、ネギ焼き、麹(こうじ)とこんにゃくなまり節料理、大納言ぜんざい、甘酒などが販売され、長蛇の列ができました。
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地場産農産物が大好評の農民連大阪産直センターのブース |
食文化は地域の宝
原料にこだわり、安心・安全な食品づくりを続けている食品メーカーが加盟する「良い食品を作る会」会員で、「三河みりん」で有名な(株)角谷文次郎商店代表取締役の角谷利夫さんは、「伝統食列車の熱気と食文化の豊かさが、そのままここ大阪に集まってきた感じですね」と、話します。
大阪市なにわの伝統野菜生産者協議会の会長で、田辺大根などの生産者でもある細田仙次さんは、「伝統野菜は病害虫に弱く、栽培に手がかかりますが、なにしろ味がいいのです」と言います。最近では注文に応じられないほど人気が高まってきましたが、「大阪では農地と農家そのものが減っていて、生産者の高齢化と後継者問題が深刻です。農地と農家を守らずに、伝統野菜だけを守ることはできないのです」と話してくれました。
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「わては天王寺かぶらでっせ!」――紙しばいと音楽で面白おかしく大阪の伝統野菜を紹介する「なにわ伝統野菜の会」のみなさん |
細田さんらと協力して、地域づくりや消費者の立場から田辺大根の保存・普及に取り組んできた「田辺大根ふやしたろう会」の谷福江さんは、「日本の豊かな食文化は、日本各地の農林水産物の豊かさが育んでくれたもの。伝統野菜やその料理方法は地域の宝。絶やさず、継承していきたい。田辺大根を守ることで、地域そのものを見直すことにもなりました」と語ってくれました。
(新聞「農民」2015.12.21付)
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