私と土づくり
国際土壌年にあたって
神奈川土作り研究会会長 大原 好文さん(66)
県農民連会員・中井町在住
安全・安心・おいしさ・高栄養価
有機肥料、粘土入れ保肥力向上
神奈川県中井町で、有機農業を営んでいます。労働力は、私と妻のほかパートの方3人です。栽培作物は、ニンジン、ブロッコリー、玉ねぎ、赤玉ねぎ、サトイモ、長ネギ、根ショウガ、ジャガイモ、金時ニンジン、大根、落花生、キウイフルーツなど多品目です。栽培面積は、1・5ヘクタールです。
どうやったら安全・安心でおいしく、そのうえ栄養価の高い野菜や果物ができるのか。神奈川土づくり研究会と出合ってから27年間、勉強し、追求してきました。本格的に有機農業に取り組んでいるのはここ15年ぐらいです。
有機農業の仕方少しずつ変わる
有機農業といっても、いくつものやり方があり、時代とともに少しずつ変わっています。
化学肥料は使用せず、次に掲げるような肥料を主に使っています。日本の土壌は、有機物が少ないうえ、ミネラル分も少なく、人の力を加えた微量要素などが必要です。
主な肥料は次の通りです。
ボカシコンブ…昆布残さ、ケイ藻土を発酵させたもの。
ボカシ大王…うずらの糞(ふん)、鰹節煮カス、米ぬか、カニガラ、植物粕類、発酵微生物。
貝化石コロイドケイ酸肥料。
グアノ(こうもりや海鳥の糞)。
マグネシウム
乳酸卵殻…鶏卵殻をEM発酵させたもの。
豚糞堆肥…海老名畜産(愛川町)の完熟堆肥。近くの牛糞堆肥。
動植物の残さなど有機物をそのまま施用するとアンモニア硝酸態窒素となって作物に吸収されます。硝酸イオンは苦みを感じ、体にもよくありません。
成長促進、食味の向上のために天恵緑汁(ヨモギやキウイの芽・摘花実、タケノコ、クズなど活性の高い時期の植物を黒砂糖と発酵させたエキス)、木酢、魚腸エキスを葉面撒布しています。
また、防除として、木酢液(広葉樹の炭焼きから入手)、ニームオイル(センダンの木のオイル。虫の忌避剤として使用)、トウガラシ・にんにく木酢液抽出物(ヨトウ虫対策に使用)などを利用しています。
以前は、センチュウ対策にコブトリソウを使用していましたが、収益があり、採算のとれる落花生をつくっています。
畑の地質は、関東ローム層で、落花生の栽培にも適しています。
農家と消費者が食べ比べして
畑では、土壌分析を毎年やっていますが、酸性から弱アルカリ性になっています。
さらに、同じ畑で同じ作物をつくり続けると、連作障害になってしまいます。作付けの順番を変え、ほ場も変えることが必要です。有機肥料や粘土を入れることによって保肥力を増すことができます。
神奈川土づくり研究会では、農産物比較検討会などを行い、農家や消費者とみんなで食べ比べて採点し、栄養成分も調べます。消費者に「食べておいしい」と喜んでもらうことで、やりがいを感じています。
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見学者に畑の説明をする大原さん(右) |
これからも安全・安心でおいしく、栄養価が高い野菜や果物づくりをめざしていきます。
(新聞「農民」2015.12.14付)
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