市民の手でエネルギーの
地産地消をすすめよう
電力小売自由化 FIT制度見直し
再エネさらに広げ地域を豊かに
「市民・地域共同発電所全国フォーラム2015」が11月13、14の両日、神奈川県小田原市で開催されました。
8回目となった今回のテーマは、「電力自由化時代の到来に向けて、エネルギーの地産地消をどう進めるか」。来年4月から始まる電力小売りの全面自由化では、従来は地域独占の電力会社(東京電力や関西電力など)からしか電気を買えなかった家庭用も、自由に電力会社を選べるようになります。電力小売市場には新たに企業や自治体、市民電力などによる「新電力」(PPS)が多数参入することが期待されています。
しかし、再生可能エネルギーを「グリーン電力」と表示した販売が認められないことや、再エネ電力による電気料金が上昇させられかねないしくみになっているなど、再エネ普及には厳しい障壁も設けられています。「電力自由化時代の市民電力・発電所の課題」をテーマにした分科会では、こうした電力小売り自由化の制度上の問題点や、現在、制度の見直しが進むFIT(再エネ電力固定価格買取制度)を、今後どのように活用していくかなどについて、活発な議論が交わされました。
市民による自然エネの実践報告
2日目の総括セッションでは、各地の市民による自然エネルギーの実践例が報告されました。地元の中小企業が出資し、自然エネルギーの普及に取り組んでいる小田原市の「ほうとくエネルギー株式会社」の取り組みや、3年間で18メガワットの再エネ発電を実現した「徳島地域エネルギー」などの5例が紹介されました。
福島県農民連の佐々木健洋事務局長も報告。原発事故の被害に苦しむ福島の現状に触れながら、「自分たちの電気は自ら作る」を合言葉にした各地の太陽光発電の取り組みや、森林バイオマスの活用、省エネ住宅リフォームを模索していることなどを紹介しました。
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総括セッションで福島県農民連のとりくみを発表する佐々木さん(右から2人目) |
討論では、「何のために再エネに取り組むかという原点が大事。地域の資源は地域を豊かにするために活用し、その収益は地域に還元する。再エネは地域を豊かにするための手段だということを忘れてはいけない」などの意見が出され、大きな拍手がわきました。
(新聞「農民」2015.12.7付)
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