地産地消の取り組みは
TPPで後退させられる
全教中央執行委員 山元幸一さん
関連/韓米FTAで韓国は地産地消できなくなる
地域でとれた農畜産物や加工品をその地域で食べる――。学校給食で地産地消の取り組みがすすめられています。その地域でつくり、生産者の顔も見られるから、安全・安心です。TPPで農畜産物の関税が撤廃され、何が入っているのかわからない安い食材が今まで以上に入ってきたら、食の安心・安全が壊されてしまいます。
TPPに含まれるISD(投資家対国家紛争解決)条項によって、地産地消や国産農畜産物の採用など、国内の学校給食の取り組みが「アメリカ企業にとって不都合だ。もっとアメリカ産食材を買え」と訴えられるおそれがあります。
子どもたちが食や農業の大切さを学ぶうえで重要な役割を果たす学校給食。すべての子どもたちの健やかな成長を願ううえでも、TPPは大きな問題があります。
韓国では身の回りで取れたものを食べることが健康に良い(身土不二)との考えから、学校給食で地元食材を優先的に使う条例が、ソウル市など地方自治体で制定されていました。
しかし、韓米FTA(自由貿易協定)発効(2012年)以降、これが米国産食材の排除につながるとして、協定に含まれるISD条項で訴えられることを恐れ、韓国政府は、各自治体に地産地消の条例をやめるよう指示。その結果、9割の自治体が「地場産品を使う」を「親環境農業政策」の基準に合った有機農産物を使うよう条例を変更し、米国産農産物の選択の余地を残す表現に変えられました。
(新聞「農民」2015.12.7付)
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