「農民」記事データベース20151207-1193-01

おいしくて安全なものを
子どもに食べさせたい

給食センターから自校方式へ

高崎市の学校給食を視察


全国食健連

 国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)は11月19日、群馬県高崎市の学校給食の取り組みを視察しました。

米はすべて地元・高崎産
野菜も群馬県産48.1%使用

 各校への栄養士配置が大きな力に

 高崎市は自校方式(給食センターではなく自校内で調理し供給)での給食を推進しています。視察には農民連や自治労連(調理員)、全日本教職員組合、新日本婦人の会などから参加者が集まりました。

 参加者は、まずは市教育委員会の担当者から説明を受けました。

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給食の調理を見学する参加者

 高崎市では、1987年に合併前の旧高崎市内のすべての小中学校と幼稚園が、自校方式での給食をスタートさせています。また06年の合併時に継承した給食センターも、随時、自校方式に切り替えています。

 地場産野菜活用の取り組みは94年に1人の栄養士が給食に取り入れたことがきっかけで、食材研究の研修を通し、栄養士全体に広まりました。

各校栄養士が食材を選択
創意あふれるメニュー考案

 各校に最低1人は配置されている栄養士は、食材研究や広報紙作成、献立作成など身近な課題を選択した専門研修を行っています。その中で、食肉業者と連携し、発色剤を除いたハムやベーコンなどの給食利用や、地場産材料を使った「高崎しょう油」、「高崎ソース」をJAたかさきと共同開発するなどの成果を上げています。

 高崎産特別栽培米を9割使用(残りの時期も高崎産の慣行栽培)し、14年度の実績では、高崎産を主に県内産野菜を重量比48・1%使用しています。

 農家意識も変わる

 説明後、参加者から活発な質問が出されました。食材の選択やメニューの決定は各学校の栄養士が行っているという返答に、参加者から驚きとともに「うらやましい」という声も聞かれました。また、「給食があるから子どもたちも落ち着いて勉強できると思っています。中学でも教員は生徒と一緒に食事をとっています」との発言に感心の声が上がりました。

 市立高松中学校に移動した参加者は給食調理の様子を見学。同校では620食を6人の職員で調理していて、栄養教諭の関口順子さんはやりがいにあふれた表情で説明してくれました。

 午後からはJAたかさき特販直売課の関根越夫課長とともに配送センターの見学し、生産者を訪問。関根さんは「急な変更などの対応は大変ですが、続けていかなければいけないと思っていますし、給食に出荷すると、農家の意識も変わってきています」と話します。

 子どもたちが食べる物だから

 生産者の桜井君雄さん(68)は、露地野菜2ヘクタール、ハウスを約40アール耕作しています。ちょうどオータムポエムの収穫時期で、「収穫が追い付かなくて大変」といいます。「子どもたちが食べるものなので、防除には非常に気を遣っています」と生産の苦労を語っていました。

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オータムポエムを手にする桜井さん

 視察に参加した調理員の尾崎秀敏さん(41)は「大変刺激になりました。横浜市は4ブロックに分けた統一献立になっています。やることは増えますが、学校ごとに裁量があるやり方でやってみたいものです」と語りました。

 新日本婦人の会の浅井まりさんは「子どもたちに安全でおいしいものを食べさせたい、という熱意のなせるわざだと思います。支えている保護者や生産者、市とこうした価値を確認、共有できる場を作ることが大切だと実感しました」と感激していました。

(新聞「農民」2015.12.7付)
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2015年12月

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