ファストフード労働者の世界会議
参加者が報告集会
世界の労働者が不安定雇用と貧困に直面
声あげねば何も変わらない
「世界の運動とつながって、最低賃金を大幅にあげよう!」――ファストフードなど低賃金で働く労働者たちが、人間らしい生活と賃金の引き上げを求めて、世界中で立ち上がっています。8月には、ブラジルのサンパウロで20カ国以上の労働者たちが集まり、「ファストフードキャンペーン世界会議」を開催。
11月10日には、日本から世界会議に参加した首都圏青年ユニオンの神部紅(じんぶあかい)委員長、ジャーナリストの松元ちえさんのほか、この世界キャンペーンを最初に呼びかけた、アメリカ・SEIU全米サービス業従業員組合のニック・ルディコフさんを招いて、報告集会が開かれました。
ファストフードアクションは、最低賃金を15ドルに引き上げることを求めた「ファイト・フォー・15ダラーズ(時給15ドルのためのたたかい)」の一環として、2012年にアメリカ・ニューヨークで始まりました。マクドナルドなどファストフードチェーンは、世界的な多国籍企業であると同時に、多くの国で低賃金労働や非正規・不安定雇用の象徴的な職場でもあります。こうしたことからアメリカでは、ファストフード産業の労働者だけでなく、清掃労働者や大学の臨時講師など低賃金・不安定雇用に苦しむ労働者が業種・職種を超えて運動に加わり、今ではアメリカ全土に広がっています。
運動の広がりを受け、カリフォルニアでは2018年までに、ニューヨーク州では2021年までに、州の最低賃金が15ドルに引き上げられることが決まったほか、他の州でも最低賃金の引き上げに結びつき、1100万人の労働者の賃上げにつながっているといいます。また、大統領選挙でも「15ドル(またはそれ近く)」が有力な候補の公約となるなど、一大争点となりつつあります。
ルディコフさんは、「重要なのは、新自由主義が広がるもとで、世界中の労働者が不安定雇用、不平等、貧困という共通の問題に直面していることです。しかし今、ファストフード産業のようなこれまで労働組合に組織されていなかった労働者たちが、“文句を言うヤツはクビ”という不安定な労働条件のなかでも『今、声を上げなければ、何も変わらない』と、勇気を奮って立ち上がっています。そしてそれが世界中の労働者たちに支持されているのです」と強調しました。
(新聞「農民」2015.11.30付)
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