シイタケ原木不足、価格高騰
良質原木の安定供給を
農民連が林野庁に要請
シイタケ原木が価格高騰している問題で、農民連は11月11日、林野庁に要請を行い、大阪、奈良、和歌山の原木シイタケ生産者ら10人が参加しました。
今年はとくに、シイタケ生産者の供給希望182万本に対し、供給可能な原木は130万本(林野庁調べ)と、52万本も不足。価格も震災前は1本200円ほどだったものが、現在では400円台から600円台、高いものでは800円台と、猛烈な高騰状態となっています。
重要な支えに…
林野庁は、福島原発事故後の全国的な原木不足・高騰と生産者からの要望を受けて、2013年から原木の震災後の値上がり分の半額を補助しており、原木シイタケ生産者の重要な支えとなっています。ところが、福島、宮城など原木シイタケの大生産地では、国の補助に加え、県や自治体が独自に上乗せ補助する事例もあることから、県・自治体によってシイタケ生産者の原木の購買力に差ができてしまい、原木流通が混乱する事態となっています。
農民連は、(1)良質な原木を継続的かつ安定して供給できる対策、(2)適正価格で流通させるよう関係者を指導すること、(3)国の「半額補助」事業の継続、(4)国の「半額補助」に加えて、県や自治体が独自に行っている「上乗せ補助」を、すべての都道府県で実施するよう、補助制度を見直すことを求めました。
林野庁も、「原木不足の深刻さは重く受け止めている」と述べ、「半額補助事業を来年も継続したい」と回答。原木価格の高騰については「地域によって高騰している事例もある」との認識を示しました。
困難な個人調達
参加者は、「個人や小グループで九州の原木産地から買い付けているが、『半額補助』では追いつかないほど、価格が高騰している。運よく買いつけられても、各地の森林組合などが高品質の原木を高い価格で買っていってしまうため、こうした高品質の規格から外れた、太すぎるもの、曲がったものが多く、品質が悪い。福島産の原木にはなかったような悪質な雑菌の問題もある」と、個人調達ならではの困難な実態を話しました。そして「大産地ではないが、取引先との信頼で経営を守ってきた。これを壊さないでほしい」と訴えました。
また、長年にわたって大産地だった福島県産が使えなくなったことで、これまでシイタケ原木を生産してこなかった林業者や地域に、原木の増産が求められるようになっています。そのため「道具もない、ノウハウもないなかで広葉樹を切り、原木として出荷するのでコストが非常に高くなっている」との原木生産者の実態も出され、「良質な原木を、いかに長期的、安定的に確保・供給していくか、国も真剣に考えてほしい」との要望もあがりました。
林野庁は、「原木価格高騰分の補助だけでなく、原木を切り出す林業者への支援や、広葉樹の更新や管理への支援なども考えていきたい」と述べ、引き続き原木の流通問題に積極的に取り組んでいく姿勢を示しました。
(新聞「農民」2015.11.30付)
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