母親大会実行委が農水省に要請
TPP“大筋合意”撤回し
食の安全と家族農業守れ
第61回日本母親大会実行委員会は、今年8月に兵庫県で開催された日本母親大会の決議をもとに、10月22日、各省庁に対し、要請行動を行いました。農水省には兵庫、茨城などの各県の代表者のほか、農民連女性部から久保田みき子部長をはじめ6人が参加しました。
要請では、米価暴落対策の強化や家族農業を守ること、TPP交渉からの撤退、食料自給率の向上と食の安全などを中心に求めました。
米農家がいなくなる
農水省は米価対策について、「米の需要が減っており、農家が作りたいだけ作っていては米が余る。飼料用米や大豆などへの転換など、需要に応じた米作りをしてほしい。価格維持のための政府買い入れはしない」などと、従来どおりの回答に終始しました。
久保田さんが、「今年は概算金が上がったと言うが、生産費にはまったく足りない。これでは米作りをする人がいなくなってしまう」と痛切な実情を話しましたが、農水省は「規模によってコストは違う。小さな農家はたいへんですね」と他人事のような返答をしたため、「小さな農家はいなくなっていいのか」「国はナラシだ、飼料米だと言うが、米を作り続けるには全く不十分だ」などの声が噴出しました。
“決議”守れたと思う
またTPPについて農水省は、「参加11カ国中、日本は他の国と比較しても関税の非撤廃率が高く、農産品の関税を守ることができた。食の安全も守られている」などと回答。「農水省はこの結果で国会決議が守られたと考えているのか」という質問に、「日本は交渉の場でも“空気を読まない”くらい、譲らずにがんばった。その結果、決議が守れたどうかは国会議員が判断するが、農水省としては守れたと言ってもらえるよう、がんばった」と強弁。
会場から、「とんでもない。譲歩に次ぐ譲歩ではないか。農家を守ると言いながら、一方で米輸入を拡大するなど、許せない」と厳しい声が続々と上がりました。
消費者の参加者からも「食の安全が守られるのか心配」との意見があがりましたが、「ISD(投資家対国家の紛争解決)条項は民間業者が提訴するものなので、絶対大丈夫とは言い切れないが、食の安全など“正当な目的”の制度については対象外とされた」と述べ、あくまで「食の安全や表示基準に変更はない」との主張を繰り返しました。
参加者は、「国は食料自給率の向上に本気で取り組んでほしい。農業は国土の守り手でもある。生産費を下回るような米価暴落には十分な対策をとって、家族農業が続けられるようにしてほしい」と重ねて要求しました。
(新聞「農民」2015.11.9付)
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