マイナンバー制度
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「ストップ!マイナンバー」と訴えたデモ=10月3日、東京・渋谷 |
番号がつけられると法人については原則的に、個人と違ってその番号の情報は公開するということになっています。さらに、罰則の問題も大変危険です。たとえば法定調書です。従業員に年間500万円以上の給料を払った場合、税務署に源泉徴収票を提出することが義務づけられていますが、これは実際には出さなくても今のところ罰金を科していません。また、法定調書以外にも、いわゆる「おたずね」として、6カ月間に交際費をいくら使ったかとか、いろいろな「法定外調書」類が送られてきていますが、これは法定調書ではありませんから出す義務はありません。
しかし、この番号制などを採用していく中で、もっと法定調書を増やさなければいけないということを政府は言っていて、いろいろなものを罰則つきの法定調書化していく動きがあります。
こういう状況の中で国民が監視されるわけですが、特に狙われているのは人格のない社団、任意団体です。政府にとって思わしくないようなことをやると、これを番号で押さえつけようという動きが非常に危険な点です。すでに10年くらい前に東京国税局では、民間団体に対してどんなことをやっているのかということを調べる、事業内容の「おたずね」を送っています。
全国組織であれば、都道府県あるいは市町村レベルの支部のようなところの名簿を手に入れて、そこに回答を求めるようなものを出すということが進められています。ですから、その法定調書類が番号制のもとで強化されると、そういう形で広範な団体が管理されていくことになります。
それは健康保険だとか労災保険法、児童福祉、予防接種、身体障害者福祉法だとか、生活保護法、それから地方税の納付とか国税の納付、公営住宅法、社会福祉法、健康保険法などです。
税務について言えば、国税通則法その他の国税に関する法律による国税の納付義務の確定、納税の猶予、担保の提供、還付または充当、付帯税の減免、調査、不服審査、その他国税の賦課または徴収に関する事務などが入っています。このようにありとあらゆる問題が番号で把握されていきます。こうして、あらゆる情報が入った内容、番号の漏えいがあったらどうなるのかということは大問題です。
国民ID(番号)カード制を実施していたイギリスでは、国民の人権を踏みにじるということで制度を廃止した例もあります(別項)。スウェーデンなど、前から番号制を採用しているところでもプライバシーの侵害がひどすぎるということで問題が起こっています。
「イギリスでは、前労働党政権が、2008年から、『国民ID(番号)カード制を実施した』…野党や人権団体が『国会が国民を“データレイプ”する…監視ルーツはいらないと大反対したにも拘(かか)わらず…10年5月に誕生した新(保守党・自由党連立)政権が…『恒常的に国民の人権を踏みにじる制度である』として、廃止することとした」(『税経新報』11年12月)
[2015年10月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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