旬の味
四季折々の田園風景は、人々に心地よさと郷愁を感じさせる。特に黄金色に染まる秋は見事というしかない。重く垂れた稲穂を手でさわった感触が実にいい。米作りの充実感が味わえる。両手で握った穂の膨み具合で大よそ作柄の見当がつく▼刈り取りの適期は案外短い。長く続かない移動性高気圧の晴れ間に作業が集中する。農家は真剣そのもので、表情はどこか収穫のよろこびをかみしめているようだ。数千年来、人の命と文化を育み、歴史を刻んできた水田は心のふるさとである▼料理研究家の辰巳芳子さんが「米作りには全部で135回の手間がかかる。田を通じて日本人は代々しんぼう強さを身につけ自然と交流し、仕事力を磨いてきました。すばらしいことです」と発言されていた。なるほどと思う▼近所で米作りを断念した農家がまた出た。悔しかったことだろう。米価暴落が主因であり、じくじたる思いだ。コメを輸入して国産米をつぶすアベ政治。ご先祖が切り開いた大事な水田、どこまでも守りたい。 (長)
(新聞「農民」2015.10.19付)
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[2015年10月]
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