旬の味
秋、稲穂が色づき始めると、「昔から夏の夕焼け川渡って待っとけ、秋の夕焼けカマ砕いて待っとけと言いよった」と砕石に向かい一心に砕く亡父の後姿を思い出す▼今年も稲刈りの時期が近くなったが、ジャンボタニシの大発生、連日の長雨、出穂時の大風。自然の厳しさを感じながらの米づくりだ。草刈りの手を休め、畦に腰を下ろして見上げた空。今日は真っ青。「青い空は青いままで…」と思わず口ずさんでいた▼残せるだろうか? いや、残さなければならない。でもこれからの子どもたち、若者たちは――。このままでは危ない気がする。多くの「反対」にもかかわらず、戦争法案の強行採決をはじめ、TPP、農協改革、マイナンバー制度と限りない政策がよくわからないうちに出され、実施されていく▼戦後70年。日本は戦争しない国として世界に信頼されてきた。その意味を改めて考えるときではないだろうか。「気づいたときは遅かった」を繰り返さないために。そして「青い空は青いままで」引き継ぐために。 (え)
(新聞「農民」2015.10.12付)
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[2015年10月]
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