本の紹介
日本婦人団体連合会編
女性白書2015
参政権、均等法、労働権、人権…
世界と日本の動向を紹介
創刊40年を迎えた『女性白書2015』は、総論では“憲法とジェンダー平等はどこまで日本社会に定着してきたか”“女性差別撤廃条約の発展と日本の課題”を分析。各論では、獲得70年の女性参政権と政治参加、均等法制定と女性労働者の労働権確立、女性の人権の核である「慰安婦」問題、さらに平等・人権をめぐる世界の日本の動向を取り上げています。
毎年掲載する「女性の現状と要求」においても、労働、社会保障、くらし、教育、平和と民主主義のそれぞれの項目で、戦後70年、女性差別撤廃条約批准30年という視点から、この間の流れや特徴をおさえるとともに、今日の課題を明らかにしています。
憲法・平和・人権―日本の現状はどうでしょうか。「安全保障関連法」と称する戦争法がついに強行採決されましたが、私たちは、一人ひとりが自らの意思で声をあげ立ち上がるという画期的な経験をしました。女性の分野でも、レッドアクションやママの会デモなどが列島をかけめぐり、全国に広がった「戦争反対、憲法を守れ」の大運動のうねりは決して消えることはないでしょう。
歴史を逆戻りさせる動きがあらゆる分野で強められようとする現在、憲法と平和を守りぬき、誰もが人として生きることのできる平等な社会を実現することは、一人ひとりのたゆまぬ努力により可能となります。
本書は、こうした思いを持つ多くの方々の知の力として活用していただくことを念頭に編集しました。
それぞれの項の執筆者は、専門分野の長年の研究者と各分野で運動を担っている方々です。巻末には、本文と関連する資料、ジェンダー統計資料、2014年の年表を掲載。統計資料第10項は、女性差別撤廃条約批准30年を視座に、女性の社会進出関連の統計を集めました。
本書が、歴史に学び、現在を見つめ、これからを展望して平和、平等、民主主義の守り手を広げるために役立つことを願っています。
(婦団連副会長 伍淑子)
(新聞「農民」2015.10.12付)
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