生産が続けられる米価を
不必要な米輸入許さない
9・29中央行動
農民連が農水省交渉
関連/9・29中央行動 参加者の感想
農民連は、「米つくって飯くえねえ・国民の主食を守れ・TPP合意阻止9・29中央行動」で、農水省交渉を衆院第2議員会館で行い、約150人が参加しました。
要請内容は、(1)TPP交渉の情報公開を行い、交渉から撤退すること(2)米価決定の市場任せをやめ、米の需給と価格の安定に国が責任をもつこと。当面、過剰と思われる30万トン程度の市場隔離を実施し、早急に米価回復のための対策を明言し、実施すること――を求めています。
冒頭、白石淳一会長は「TPP交渉では、アメリカとの2国間協議で、主食用米7万トン輸入の特別枠設定など国会決議をことごとく踏みにじる譲歩を行っていることは明らかだ。今の米価では、生産者の手取り額を賄えない事態が続いている。これでは米作りは続けられない。切実な声を受け止めよ」と訴えました。
TPP交渉について、農水省は、「交渉が継続中なので、何も決まっていないし、個別具体的な内容は報告できない。国会決議が守られたと評価されるような交渉結果になるように取り組んでいく」の一点張りでした。
参加者は、「何も決まっていないと言うが、甘利TPP担当相が5万トンの提案をしたと具体的な数字が出ている。譲歩しているのは明らかだ。低米価のうえに、さらに不必要な米を輸入するのは許されない。ただちに交渉から撤退せよ」と要求しました。
米価問題では、農水省は、「米価は、需給状況を踏まえて民間の取引のなかで決定される。国による過剰米の買い入れは適当でない。米の需要も減っており、主食用米から飼料用米・非主食用米への転換を図り、需要に応じた生産に取り組む環境をつくることが重要」との答弁でした。
参加者からは、「猛暑や長雨で収量が減った。収入減で新しい機械が買えない。ある地域では『こんな米価ではやっていけない』と26歳の青年が自ら命を絶つなど、非常事態だ」(千葉)、「米の概算金が9000円で生産費が1万6000円。これでは米づくりはできない。不安を抱えながら米作りをしているが、もう限界だ」(福島)など切実な声が出されました。
また、飼料用米・非主食用米への転換についても、「豚や鶏が新米を食べ、人間は繰り越した古米を食べるという矛盾が出ている」などと批判しました。
さらに、「法人化しても運営できない。今の低米価で経営が厳しく、法人化を解消しなければならない事態になっている」(岩手)、「米の消費が減っていると言うが、そのまま見過ごすのか。消費拡大の努力をもっとすべきだ」などの意見も出されました。
最後に「このままでは、後継者もいなくなり、日本の農業が衰退する。いま、何らかの対策をとるというメッセージの発信が求められる」と重ねて訴えました。
交渉には、日本共産党の紙智子参院議員、畠山和也、斎藤和子の両衆院議員が同席しました。
米食べ続けたい農家を応援する
木谷直香さんと向希(むつき)くん親子
新婦人会員の友人からこのデモのことを教えてもらい、「日本のお米を食べ続けたい」と思って参加しました。私もずっと食べ物に無関心で、便利で安ければよいと思っていましたが、子どもがアトピーだったことで食べ物の安全性を真剣に考えるようになりました。
TPPなどで日本の農産物が安くなるのは消費者にはいいことと、メディアでは宣伝されています。でも、私は食べ物の、とくにお米の安全・安心にはお金を払う価値があると思います。だから米価下落で離農する農家がいるというのは、とてもつらい。安心してお米を食べ続けたいから、私も消費者として日本の米農家を応援していきたいです。
農水省の応答は本当に誠意ない
岩手県農民連 小松大成さん
交渉での農水省の回答は、本当に残念というか、誠意がないものでした。
私の集落は77戸しかいない本当の田舎ですが、もう米作りをやめる人が続々と出ています。一応つくっている水田も、この米価では農家の精も出ないので、とても荒れています。高齢化率40%を超える集落も多くて、自然消滅を待っているような状態です。
政府は多面的機能支払いなどで補助金を出していますが、本来はきちんと米価を保障して、地域で農家が農業を続け、暮らしていけることが必要です。そうすれば、農村はちゃんと維持できるんです。“補助金はあるが農家がいない”とならぬよう、せめて再生産が可能な米価に回復させる、それが今一番、国に求められていることだと思います。
(新聞「農民」2015.10.12付)
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