「農民」記事データベース20150921-1182-18

農民連青年部
夏の学習交流会
京都

茶農家が元気になれば町も元気に

和束町の多彩な取り組みに驚嘆


国際インターン制度
ネット販売・茶摘み体験
茶畑オーナー制度
町おこしに茶源郷まつり

 2015年の農民連青年部夏の学習交流会が8月29、30の両日、開催されました。

 開催地の京都府和束町は奈良県にほど近く、宇治茶の一大産地として有名です。京都府景観資産登録地区の第一号に登録されていて、茶畑が町中に広がり見事な光景を作り出しています。植田修青年部長も4ヘクタールほどの茶畑を耕作しています。

 和束町では町内の青年たちが海外ボランティアの受け入れや、住み込みの農村体験プログラムを作るなど、町外からの人の受け入れと移住の促進を目指した活動を進めています。また隣の奈良県農民連も新規就農の受け入れを積極的に進めています。これらの活動を学び、地元で役立ててほしいと和束町で交流会を開催しました。

 活動報告をしたのは現地から京都おぶぶ茶苑の副代表、松本靖治さんと合同会社ゆうあんビレッジの山下丈太さん。そして、奈良県農民連の水井康介事務局長と原澤康治青年部長です。

海外からも農業したい人招く
若い人に田舎暮らしの体験を

 町の活性化めざし

 おぶぶ茶苑は震災後の放射能検査がきっかけで農民連に加入しています。松本さんは、「おぶぶとは京都弁でお茶のことです。伝統的なお茶を世界に広げていけたらと活動をしています。お茶のネット販売とともに、茶摘みなどの体験や茶畑オーナー制度などに取り組んでいます。町おこしに『茶源郷まつり』にも取り組んでいます」と紹介。また海外から人を呼ぶ取り組みとして「国際インターン制度」を紹介。「2012年から始めた取り組みで今までに42人を受け入れました。こちらで受け入れるために家や調理道具、インターネット環境を整備し、そのための費用として参加費1万8千円を受け取っています。インターン生は各農家で無償で働いていて、お金ではなく知識や経験を求めて参加してきています。日本に来て農業をしてみたいという海外の人はたくさんいます」と話し、「ぜひインターン生を受け入れてみませんか。もれなく英語を話せるようになりますよ」と呼びかけました。

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報告を受けて熱心に話し合い(手前右が松本さん)

 転勤で引っ越しが多かった山下さんは、6歳の時から和束で暮らしていました。「2030年くらいに限界集落になるという予想が出て、地域のために何かできないかと考えて雇用促進協議会で働きはじめました」ときっかけを紹介。

 働いている世代がほぼ茶農家の和束町。茶農家が元気になることをすれば町が元気になる山下さんは考えました。募集が難しい繁忙期のアルバイトと若い人に人気の田舎暮らし体験を食実和わせて生まれたのが『ワヅカナジカン援農プロジェクト』です。「少しでも若い人に茶業、農業、田舎暮らしのことを知ってもらえたらと考え、3カ月共同生活しながら茶農家のところで働いてもらっています。地元の経済にも波及効果が出ています」と話しました。

青年農家が普通に作って売って生活できるように

奈良県農民連 新規就農者への取り組み

 水井さんは農民連のあり方について「農家一人一人の問題を聞いて解決していく。相談できる場所を作っていくことは農民連にしかできないこと」と語り、そのための手段として会員がだれでも使える加工所を整備したり、売り先と生産者の需要を調整して販売する生産管理センター、ベテラン農家が中心となった新規就農者の学習会などの取り組みを紹介しました。

 原澤さんは「明日香村の新規就農仲間9人で2年前からマルシェを立ち上げました。地元のレストラン関係の人や子育て世代の人たちが来てくれて、多い人で2〜3万円ほど売り上げている」と紹介。また「マーケットで売るのはセンスがいるので、普通の農業として作って売って生活できるようにしていきたいと考えています。今年から4反のたまねぎの生産をスタートさせました。うまくいけば機械をみんなでリースという形にして、若い農家を呼び込んでいきたいです」と新しい試みを進めています。

 大いに飲み語り合う

 グループに分かれてのディスカッションでは大いに話が盛り上がり、時間が足りずに懇親会に持ち越しに。懇親会では地元の野菜たっぷりのバーベキューを囲み、あいにくの雨に負けない盛り上がりを見せました。「国際インターンシップの仕組みをどうやって作ったのか」「希望者の紹介はしてもらえるのか」「どうやって参加者を集めたのか」など報告者に質問をして、地元でも実現できないか真剣に考えているようでした。

 2日目は景観資産に登録されている茶畑を視察。植田部長によるお茶作りなどの説明を聞きながら美しい景色を堪能しました。

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茶畑をバックに植田部長(中央)の説明を聞く参加者

 参加者も大満足の交流会となり、岡山から初参加の野上誠治さん(20)は「農業を始めたばかりなのでいろいろな農家の話を聞けて参考になりました。また参加したいです」と話していました。

(新聞「農民」2015.9.21付)
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2015年9月

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