茨城県西農民センターの
税金の取り組みから
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亡くなった親の住民税滞納分
15年度末までに執行停止に
家族に病人を抱え、過去何年間も市民税が払えず困っていた染谷さん(仮名)は8月5日、茨城県坂東市の収納課を県西農民センターとともに訪れ、話し合いをもちました。
「猶予」の申請に 担保などを要求
まず初めに染谷さんは、2014年、15年分の徴収額72万7000円の「徴収の猶予」を申請しました。収納課長は、「この申請をするには、税金滞納額が50万円以上の場合、担保か保証人が必要」だと求めてきました。染谷さんは、現在の生活状況を詳しく説明し、「財産はなく担保は出せない。保証人を立てるのも無理」と説明しました。
染谷さんには、亡くなった親の住民税滞納分、つまり08年から11年分51万3000円の「未納の市税等債務承認及び納付誓約書」が存在していました。「親は亡くなっているのに、債務が残っているのはおかしい。書類を処分せよ」と求めると、「15年度末までには、親の滞納分について執行停止する方向で処理する」と回答がありました。
払えぬ国保税は軽減でなく減免を
納付誓約書には、支払う税金の割り振りは担当職員が行うことが明記されています。7月末に染谷さんが国保税を納めに行くと、親の納付誓約書を根拠に「国保税3000円、固定資産税7000円」と割り振られていました。誓約書を書かせる根拠を尋ねても、市の条例にはありませんでした。
農民センターは「染谷さんは国保税を払いに行ったのに、他の税金(固定資産税)に回すことは許されない」と抗議すると、今度は「本人の意向に沿って処理する」と回答しました。
しかし、制度や手続きの方法を知らない人や、相談するところがない納税者は、市職員に言われるがままに処理されてしまっています。市は「収納する税金のバランスをみて割り振っている」と回答しています。
所得に応じて国保税は、2割、5割、7割の軽減措置がありますが、坂東市の条例では、火災や天災、事業の不振などで納付が困難になった場合、申請によって保険税の一部が減免される制度があります。
染谷さんは、すでに7割の軽減措置を受けていますが、所得や生活状況をみても支払いは困難です。払いきれない国保税を少しでも減らせるように、減免を受けるための申請をしています。
(おわり)
(新聞「農民」2015.9.14付)
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