「農民」記事データベース20150907-1180-06

茨城県西農民センターの
税金の取り組みから
(2)


収入なく生活保護受け
滞納処分が執行停止に

 茨城県坂東市の会員、木村豊さん(仮名)は、母親の朱美さん(仮名)と二人暮らしです。2013年度の確定申告(14年3月申告)で納税義務が生じましたが、豊さんが体調を崩し、病院にかかっているため、所得税を払うことができませんでした。

 申告直後の14年4月に豊さんは、古河税務署に対して所得税77万円の納税猶予を申請。7月には朱美さんも所得税7万1000円の猶予を申請し、それぞれ1年の猶予を勝ち取っています。申請に際し、担保の提供はありませんでした。

 猶予を受けてから1年が経過しますが、農業の経営状態は改善できず、滞納している所得税の支払いができないので、豊さんは15年4月に納税の猶予の延長を申し入れ、16年4月までの猶予延長が認められました。

 体調崩し入院所得税支払えず

 朱美さんの納税猶予も7月に1年が経過しますが、このままでは税金を払うことができないため、6月中旬に、滞納している所得税の執行停止を申し入れました。ところが、朱美さんの申し入れの結論が出ないまま、7月中に豊さんが入院してしまいました。

 茨城県西農民センターは7月27日、豊さんが入院したことや経営状況を税務署に伝え、早急に結論を出すよう求めると、29日に税務署の職員2人が木村さん宅を訪れ、経営内容や家族の健康状態などを聞き取っていきました。

 翌30日付で、滞納処分執行停止通知書が送られてきました。朱美さんの場合、通知書が送られてきて3年(2018年7月31日)が経過し、そのときに納税する能力がない場合、納税義務が消滅します。

 豊さんの滞納分については、来年4月までの猶予が認められていますが、豊さんが退院した時点で、執行停止の申し入れを行う予定です。

 生活困窮のため猶予申請すれば

 木村さん親子は、農業の収入が見込めないため、7月29日、農民センター会員の藤野稔市議(日本共産党)の力も借りて、市福祉課に生活保護の申請を行いました。

 31日に福祉事務所の担当者2人が木村さん宅を訪れ、家族構成や豊さんの病状等を詳しく聞き取るなかで、豊さんの病状が回復し、収入が得られるようになるまでの間、生活保護が受けられるようになりました。

 生活に困窮し、地方税も払うことができないので、昨年7月に市・県民税の徴収の猶予を市役所に申請し、9月に徴収の猶予も認められていますが、生活保護を受けると滞納している地方税は執行停止になります。

 なお、前回(1179号)掲載の「徴収の猶予」を申請した農民センター会員の鈴木誠さん(仮名)には先日、「徴収の猶予」を認めるという連絡が古河市から入りました。

(新聞「農民」2015.9.7付)
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2015年9月

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