「農民」記事データベース20150907-1180-01

米屋さんと生産者をつなぐ交流会

米価暴落に負けないで
おいしい米を作り続け
消費者にとどけたい

東京

関連/お米屋さんの感想

 農民連ふるさとネットワークは8月23日、東京都千代田区の全国教育文化会館エデュカス東京で「米屋さんと生産者をつなぐ交流会」(東京会場)を開き、生産者、米屋さん、卸売業者ら約110人が集いました。


信頼関係さらに強くして

 お米屋さんと手をたずさえて

 ふるさとネットの鈴木弥弘理事(宮城)が主催者あいさつ。「米価暴落で生産者は大きな打撃を受けているにもかかわらず、政府はいっこうに対策をとらない」と批判。「日本の米を消費者に届けられるように、米屋さんと手を携え、米をつくり続けられる農政の確立に向けてがんばっていきたい」と述べました。また、TPP交渉の決裂について、「私たちの運動の成果」だと述べるとともに、「日米政府は妥結に向けて動いている。この悪だくみの息の根を止めるまでたたかい抜こう」と呼びかけました。

 来賓あいさつをした日本米穀小売商業組合連合会(日米連)の長谷部喜通理事長は、交流会が15年を迎えたことに「農民連と米屋が協力して安全でおいしい米を作って消費者に届けるのが目的だった」と振り返りました。

 また、この15年間に、米の流通・販売状況が大きくかわり、卸業者も多くは米屋より大手量販店との取引が多くなったことを指摘。取り扱いの半数以上を占める業務用の米は安売り競争が激しくなり、「米を売ってもメシが食えない」と語りました。

 一方で、家庭用の米は、つくり手の顔がみえ、安全でおいしい米であることを説明すれば、消費者は納得して、高くても買ってもらえると述べ、生産者と米屋の信頼関係をさらに強くし、安全・安心な米を消費者に届けようと呼びかけました。

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米価をめぐる情勢報告に熱心に耳を傾ける参加者

 食べる量ふやし農業を守りたい

 米情勢と農民連の取り組み方針を、ふるさとネットの湯川喜朗事務局次長が報告しました。

 産地からの報告では、「お盆までは天候に恵まれた。穂数も平年より多い」(秋田)、「梅雨入りしてから雨が降らなかったが、生育は早い。早い稲刈りになる。近年、雪が少なく、越冬する虫が増え、カメムシ対策は重要」(山形)などの状況が出されました。

 日本の伝統食を考える会東京連絡会の栗原澄子さんが発言し、「お米屋さんとつながろうという企画を行い、お米のことを学んでいます。お米屋さんはお米のことをどんどん発信してほしいし、消費者はお米に関心をもち、食べる量を増やし、日本の農業を守っていきたい」と語りました。

 作柄や栽培など交流する姿も…

 交流・意見交換会では、生産者と米屋さんが名刺を交換しながら、作柄や栽培方法などについて交流する姿が各所でみられました。

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会場のあちこちで生産者とお米屋さんが交流する姿がみられました

 閉会あいさつにたった農民連の吉川利明事務局長は、「米価暴落は生産者だけの問題ではなく、消費者、米屋さん、流通業者も含めた国民的な課題。戦争法案廃案のたたかいで安倍内閣を追いつめるなかで、農政の転換を求めていきましょう」と訴えました。


お米屋さんの
感想

お客さんとのやりとりが生きがい

食べてもらえれば…

 有限会社関谷精米店・関口正徳さん(川崎市)

 仕入れが多岐にわたるなかで、仕入れ先の一つとして、随分前からこの交流会に参加させていただいています。顔の見える関係が感じられるのがいいですね。取引にもつながっています。

 福島の米は原発事故がありましたが、きちんと検査もされており、業務用を中心に積極的に仕入れています。確かに懸念を持たれるお客さんもいますが、ちゃんと説明して、一度食べてもらえれば安全でおいしいお米だとわかってもらえます。

 何年か前まではそれほどではありませんでしたが、2014年産以降は量販店などとの価格差が本当に広がって、非常に売りづらい状況です。うちはとくに低価格の米の売れ行きが悪くなっています。逆に比較的高い価格帯の米はそれほど減っていません。

お客さんに説明して

 しばた米店・柴田一茂さん(お父さん・3代目・渋谷区米穀小売商業組合組合長)

 東京都渋谷の住宅街で米屋を創業して85年。私が3代目です。いずれは僕でおしまいかと思っていたところに、息子が今年、4代目を継いでくれました。本当にうれしかったです。

 米価は下がっていますが、利益は3割しっかり取る“超強気”な商売で、24種類の米を1キロから扱っています。お客さんにちゃんと説明をして、やはり大切なのは信頼関係ですね。ここ2〜3年、子育て世代の若いお客さんが増えて、まだまだ面白い、新しい試みができそうです。

 商売からすると約6割を占める大口の業務用も増やしていきたいのですが、基本はやはり4割の店頭販売。店頭でのお客さんとのやりとりが、もう生きがいですね。だから、生産者に会えるこの交流会には、どうしても息子を連れて来たかったのです。

銘柄米よく売れてる

 柴田圭一さん(息子さん・4代目)

 父の背中を見ていて、いまうちの店では魅力的な銘柄も取りそろえることができていますし、店も新しくして、お客さんも増えているのに、これで終わらせるのも忍びないと、今年3月に20年続けた勤めを退職し、店を継ぐことにしました。

 うちは、ゆめぴりか、佐渡のコシヒカリ、つや姫など銘柄米がよく売れます。米をつくるにも、やはりブランド化できるような物語というか、セールスポイントを考えることが必要だと思います。それから、一番は、やはりおいしいこと。イメージがよくてもおいしくなかったら、すぐに売れなくなりますから。

(新聞「農民」2015.9.7付)
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2015年9月

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