「農民」記事データベース20150831-1179-09

東京から栗原市(宮城)へ移住

地域の農産物を活用する喜び

渡辺信雄さん(66)・生子さん(64)夫妻
(宮城農民連会員)


規格外の廃棄 もったいない
シャーベット今夏販売開始

 宮城、岩手、秋田の3県にまたがる栗駒山のふもと、宮城県栗原市一迫地区にこのほど、農産物加工販売所、もぎたてフルーツ工房「土里夢」(どりーむ)がオープンしました。宮城農民連会員の渡辺信雄さん(66)、生子さん(64)夫妻がその運営を任され、がんばっています。

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開店間もない「土里夢」=宮城県栗原市

 田舎暮らし夢見て

 開設したのは、地域で桃の栽培を手掛ける農家組織「ドリームファーム岩下」(熊谷道雄代表、11人)。「兼業農家5戸で人の集う公園を」と15年前、開田1ヘクタールにサクランボと桃の栽培を始めました。

 しかし、勤めながらでは、十分な管理もできず、自宅や直売所で販売するも、今日の農業情勢や後継者問題で悩んでいました。

 そこへ昨年3月、東京都の日野市役所を退職した渡辺さん夫妻がこの地に移住してきました。二人は、退職後の田舎暮らしを夢見て、すでにこの地に住居を構えていました。4年前の大震災のときは、ここを拠点に地域の人たちと被災地で支援活動を行いました。

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ドリームファームのメンバー。後列左から2人目が渡辺信雄さん。前列右から3人目が生子さん(桃園で)

 市が補助金を交付

 そんな二人がたまたまファームの桃のせん定を手伝っていたところ、規格外の桃が廃棄されている話を聞き、「もったいない、なんとかできないか」と考えるようになりました。栗原市が農林水産物の加工・販売など6次産業化に補助金を交付していることを知り、ジャムやシャーベットに加工して販売をしてはどうかと熱心に勧めました。

 ファームのメンバーは、その意気込みに勇気づけられ、渡辺さん夫妻をメンバーに加えて、事業化を任せることにしました。

 渡辺さんは、市役所職員の経験を生かし、面倒な事務手続きや用地の確保などに精力的に奔走。今年4月には、加工場が落成しました。市長をはじめ、地域の人々ら大勢を招待し、メンバーによるスコップ三味線を披露したほか、桃や小豆等、つくり立てのシャーベットや餅が振る舞われ、7月の販売開始には市内外からたくさんの人々が訪れました。

 気持ちを合わせて

 この間、渡辺さんは、宮城農民連に入会し、加工販売のノウハウは、インターネットや機械メーカーの指導などで身につけたと言います。

 渡辺さんは、「市の支援事業は大いに助かった。地域で採れたものを活用することで、みんなが気持ちを合わせ、喜んでもらえる。そこを大事にしていきたい。製品の特徴はミルクを使わず、すべて自然由来、甘さ控えめ、舌触りが滑らかなこと」と胸を張ります。

 妻の生子さんは「のんびり……と思っていたが、超多忙。でも、地域で役立っていることを実感できてうれしい」と満面の笑みで語ります。

 果物など種類豊富

 また、地域で行政区長も務める熊谷代表は、「農家がつくったものが生かされ、所得につながるように願っている」と希望と期待を寄せています。

 現在、扱っているのは、桃のほか、柿、枝豆、小豆、梅、豆乳、イチゴなど種類が豊富です。市内の直売所で販売されているほか、結婚式や法事のデザートとしても好評です。

(宮城農民連 鈴木道夫)

 もぎたてフルーツ工房「土里夢」(どりーむ)
 TEL 0228(24)8377、Fax 0228(24)8611
 ホームページ http://www.dream8377.com/

(新聞「農民」2015.8.31付)
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2015年8月

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