茨城県西農民センターの
税金の取り組みから
(1)
延滞利子かかる「分納」より
「徴収の猶予」で負担を軽減
茨城県西農民センターはこの間、税金問題で重要な成果をあげていますので、順次紹介します。
住民税と国保税支払いが困難に
地震や台風などで大きな被害を受けた場合や生活が困窮している場合には、納税(徴収)の猶予などを受けることができます。地方税は「徴収の猶予」といいます。
県西農民センターは7月末に古河市役所に「徴収の猶予」を申請しました。古河市の会員、鈴木さん(仮名)の息子、誠さん(仮名)は、市県民税や国保税などの滞納が約200万円(本税が110万円、延滞利子90万円)あり、支払いが困難になっていました。
鈴木さんから相談を受けた農民センターでは、誠さんと市収納課に出向き、滞納している地方税の支払いについて相談しました。
対応した収納課の職員は、6月に10万円分を分納しているので、7月も10万円を支払うよう求めてきましたが、誠さんは今失業して収入がないため支払うことができないことを説明しました。
6月に支払った10万円は、誠さんの親である鈴木さんが立て替えていることも説明し、これが毎月のように続けば、経営が成り立たなくなることを、昨年の収支内訳書を示しながら訴えました。
誠さんは、お金があれば支払いたいが、今支払うことができないので、地方税法で定められている「徴収の猶予」を適用するよう求めました。
納税者にとって少ない負担選択
税金の支払いが困難になったときは、法律で「徴収の猶予」が認められていますが、納税者が相談に行っても、「分納」することを求め、「徴収の猶予」という方法があることを納税者に伝えることはない、ということが職員との話し合いでわかりました。
「分納」は、延滞利子が9・1%の割合でかかりますが、「徴収の猶予」は延滞利子が0円になる場合と2分の1に減額される場合があり、納税者にとっては「徴収の猶予」を選択した方が負担は少なくて済みます。
今回の滞納の半分近くは延滞税であり、誠さんが相談に行ったときにきちんとした説明をされていれば、誠さんは「徴収の猶予」を選ぶこともできたし、延滞税が90万円にもなることはなかったはずです。
誠さんと市役所の話し合いで、当初は「徴収の猶予」の適用を渋っていた職員も申請を受け付けました。
(新聞「農民」2015.8.31付)
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