「農民」記事データベース20150831-1179-07

分析センターだより

枝豆のおいしさ決める
新鮮さと収穫後の管理


“とれたてのおいしさ”届ける
産直の良さと農家の“マメ”さ

画像  暑い夏も終わり、いよいよ9月。早生の品種から真打ちたる晩生の品種に切り替わっていくこの時期は、様々な品種のおいしい枝豆を楽しめる、枝豆好きにはたまらない季節です。

 枝豆のおいしさは、「まず品種に栽培技術、次に熟度が適期での収穫か」によって影響を受けます。さらに重要なのが、消費者の手元に届くまでの速さと、収穫後の管理です。

 急冷が甘み保つ

 枝豆のおいしさで最も重要なのは「甘み」。これに続き「うまみ」成分の含量があげられます。ダダチャマメのような茶豆や毛豆の品種では、香りの強さも加わります。

 特に、このおいしさを決める「甘み」と「うまみ」は収穫後の管理によって著しく変化することが知られており、それを裏付ける多くの試験データが存在します。その一つ、秋田県農林水産技術センター農業試験場が行った試験データを紹介してみましょう。

 枝豆を収穫後、室温(27度)においておくと、図1のように、26時間後には、「甘み」を示す糖含量は収穫直後のおよそ3分の1に、「うまみ」を表す遊離アミノ酸量も、最大時の半分に低下しています。また収穫後、室温(27度)で保管したものと、予冷(農作物を収穫後、冷却庫に入れ冷やす作業のこと)を収穫8時間後、4時間後、2時間後に行ったものでは、店頭に並ぶ頃に、図2のような明確な差が出てくることが示されています。

 産直のメリット

 産直野菜は、市場出荷品に比べ、圧倒的に早く手元に届けられます。これは枝豆のおいしさを楽しめる大きなメリットです。また、千葉県の房総食料センターなどのような産直センターでは、予冷後、冷蔵トラックを使い、おいしさを維持する運送を行っています。ほかに、低密度ポリエチレン袋での保存も効果があることが知られており、袋を厳選している産地もあります。

 「採れたての枝豆はうまい」、農家なら誰もがよく知っていることです。この言葉だけでは伝えられないおいしさを、なんとかお宅まで届けようと工夫する、ここに産直の良さと、農家のマメさが生きていると言えるお話ではないしょうか。

(新聞「農民」2015.8.31付)
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2015年8月

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