劇団「青年劇場」創立50周年記念
「真珠の首飾り」に出演の
昆野美和子さんに聞く
9月11日から25日まで、劇団「青年劇場」は創立50周年記念第6弾として日本国憲法の制定過程を描いたジェームス三木作・板倉哲演出の「真珠の首飾り」を東京都内で上演します。この舞台は、1946年2月4日、マッカーサー元帥の命を受けたGHQ(連合軍総司令部)民政局のメンバーが、わずか一週間で「日本国憲法の草案づくり」を命ぜられるところから始まります。草案づくりに立ち向かった人々の葛藤と論議を克明に描くことによって、当時の日本政府、為政者たちが、いかに戦争への反省抜きに憲法制定に臨もうとしていたのかも明らかになっていきます。
民政局員メンバーで、当時女性の権利条項作成に尽力したベアテ・シロタ・ゴードンさんを演じる昆野美和子さんに話を聞きました。
GHQの日本国憲法草案作り
葛藤と白熱した議論を描く
日本人の心もつ
この作品は、1998年に初演され、その後、2005年までに全国で109回の公演を重ねてきました。
前回の全国公演のとき、私は公演前のプレ企画で、講演を引き受けて全国を行脚してくださったベアテさんと行動をともにし、ずいぶん長い時間を一緒に過ごしました。懐の深い優しさをもった魅力的な方で、豊かな感性を持った女性でした。5歳から15歳までを日本で過ごしたベアテさんは、戦前の虐げられた女性たちをたくさん身近に見てこられたので、アメリカ人だけれども、日本の女性の心もお持ちの方でした。
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ベアテ・シロタさんを演じる昆野美和子さん |
歴史知ってこそ
青年劇場は創立してから一貫して社会問題に向き合う演劇を上演してきて、農業問題についても農民連の皆さんと一緒に学び、行動したこともあります。アメリカの日本に対する戦後政策は多くの矛盾と問題点があって、TPPや沖縄をはじめ、今論議になっている安保法制等にしても、その根っこはつながっていると思います。しかし一方で戦争のない、人類の理想を込めた憲法をつくったのもアメリカ人だった。とても複雑でデリケートな問題ですが、その両面の歴史を知る必要があると思います。
憲法とは何かを問いかける
責任ある大きな仕事と自覚
一昨年亡くなったベアテさんは、憲法を守り続けてきた日本人をとても信頼していました。今の日本の状況を見たら憂慮されると思いますけれど、国会前で声を上げ続けている人たちに「一緒に頑張ろう」とエールを送ってくださるでしょう。今回の再演を通して、ベアテさんはふたたび日本の地に舞い戻ってきたのだと、私は思っています。
責任を自覚して
この舞台は、単なる歴史ドラマではなく、現代に投げかけるメッセージを明確に持っています。
ぜひご覧いただき、たたかうための新たな発見と、元気を持ち帰ってほしい。そしてこの国の未来のあり方を、みなさんと共有できればと思います。私も、時代の息遣いを感じながら、責任のある大きな仕事だと自覚してがんばります。
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9月11日(金)〜20日(日) 紀伊國屋ホール
24日(木) 大田区民プラザ
25日(金) かめありリリオホール
前売り 一般5150円(税込み)、30歳以下3100円、高校生以下2000円
当日 一般5500円、30歳以下3400円
新聞「農民」読者の割引(500円引き)あり
注文・問い合わせは、青年劇場チケットサービス TEL 03(3352)7200。
Eメール ticket@seinengekijo.co.jp
(新聞「農民」2015.8.24付)
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