旬の味

　稲の葉が鋭く立ち、穂が孕（はら）んでいる。播種（はしゅ）から4カ月、まもなく出穂、開花となる。毎年見て感動するが、一粒の開いた頴（えい）からめしべが伸び出し、受精する様子は楚々として実に神秘的だ▼これまで流してきた汗も忘れ、しばし見とれる。好天と豊かな実りを祈った。農作物は手をかけるほどに応えてくれる｡農の一番の魅力だ｡ウソ、ゴマカシの世界とは無縁である▼違憲が明白な戦争法案を自公政権が採決強行したのは世論の批判に耐えられず、数のおごりで逃げたのだろう。ハンドルが右にしか回らずブレーキがない自動車と言われるアベ首相の支離滅裂な論法。その顔は何かに酔っているようだ▼案の定、内閣不支持が逆転し、過半数となった。燎原（りょうげん）の火のごとく広がる廃案の世論で政権を追いつめる好機。俳人の金子兜太さん揮ごうの「アベ政治を許さない」を村の隅々で掲げよう▼ＴＰＰが決裂した。「自民党、断固反対とウソをつき」。選挙ポスターはサギ師の宣伝だった。国会決議は何より重いはず。