「農民」記事データベース20150803-1176-11

旬の味


 日々、緑が濃くなっていく田植え後の朝の“田まわり”。不安ながらも心は弾むはずだった▼しかし、今年は、「ここもか」とため息とともに「どうしよう」の連続。ジャンボタニシの大発生で植えたばかりの稲がなくなってしまった。水を貯めず、強くなるのを待ち、そして植え継ぎもしたけれど、食べられてしまっているところが多い。植え直しをした農家もあると聞いた▼7〜8割なくなっている田もある。私のところも空白のところが随分と目立つ。ダメなものは元から、と赤い卵を見つけたらつぶしているが…。雨が多く、年内耕起がほとんどできなかたのも一つの原因かもしれない▼先日、隣町を車で走っているとき、田の空白の部分に置かれている苗があった。植え継ぎのために置かれたのであろう。ふと、生前、せっせと植えていく父と、その後を腰をかがめてていねいに1株ずつ補植する母の姿が浮かび、涙がでそうになった。米づくりはまだまだ手がかかる。くじけずにがんばろうと思う。未来のためにも。

(え)

(新聞「農民」2015.8.3付)
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2015年8月

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