築地市場移転
緊急シンポジウム
ウソとごまかしだらけの
移転計画は中止すべき
「築地市場移転を巡る緊急シンポジウム」が6月23日、東京・お茶の水で開催され、東京都のずさんな移転ありき、利用者軽視の姿勢が明るみに出ました。
9割の業者が築地で営業望む
東京中央市場労働組合(東中労)の中澤誠書記長は、「築地市場は現在地(中央区)での再整備で動き始めていたものを、石原慎太郎都知事(当時)が、土壌汚染がひどく民生地に転用することが難しい、豊洲(江東区)の東京ガス工場跡地を移転先に決定したことが混乱の始まりだ」と報告。
汚染を隠したまま、東京ガスから土地を高値で買い取った東京都は、うそとごまかしを繰り返し、移転計画を進めてきました。しかし強引に進めれば進めるほど関係者の合意は遠のいています。「守ろう!築地市場パレード実行委員会」が水産仲卸業者に実施したアンケートでは、実に9割近くが築地での営業を希望しています。
密閉型施設で荷さばきの場所が限られ時間がかかるうえに、豊洲はアクセスが不便なため、新宿や池袋に午前中の配送が不可能になる恐れがあること、水産卸の売り場と仲卸の売り場、青果卸・仲卸の売り場が、幹線道路で3分割され、それぞれの動線に大きな制約が予想されること、土壌汚染対策費がかさみ、利用料が高額になるなど、利用者の声を無視した欠陥施設であることを、明らかにしました。
都がまた新たな汚染隠し重ねる
今回、東京都による新たな汚染隠しを告発したのは、建築士で豊洲予定地購入の公金返還訴訟原告の一人、水谷和子さんです。水谷さんは東京都が隠ぺいを重ねる理由について「大量の残量汚染が発覚し、事業計画そのものが危ぶまれたことから、汚染対策とその費用を小さく見せる必要があった」と指摘します。
2009年の土壌汚染対策法改正によって敷地内の579区画で試料を採取し、検査が求められているにもかかわらず、東京都は、その約6割の333区画の調査を行わず、しかも、そのうち69カ所に対しては、汚染対策が終了したとし、「操業由来の汚染地」の指定を解除しました。
これは、東京都による「土壌汚染ロンダリング」ともいうべき行為であり、都の、環境行政の信頼を大きく揺るがすものだ、と告発しました。
魚市場に必須の海水の汚染心配
シンポジウムに参加した水産仲卸業の男性(63年間営業)は「大きく分けて流通と汚染の2つの問題がある。仲卸が減ってしまえば消費者は高いものを買わされるようになってしまう。今日から仲卸の店舗の抽選が始まっているが、利用料がいくらになるのか、海水は使えるのかなど不明な点が多すぎて先が見えない。また、地震が起きれば有害物質が間違いなく噴き出し、使えなくなってしまう。マスコミを通じてもっと伝えていく必要がある」と話しました。
ほかの仲卸の男性も「魚を洗うのに海水がどうしても必要。しかしくみ上げるのは一番の汚染地域に隣接する海面から。魚1匹いないところからくみ上げろと言われている。水質の検査もやろうとしない。雑巾が汚いどころの話じゃない」と怒り心頭です。
利用者の声を無視したうそとごまかしだらけの築地移転計画はやめさせるべきです。大いに運動を広げましょう。
(新聞「農民」2015.7.13付)
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