「農民」記事データベース20150713-1173-04

TPP交渉即時中止せよ

日・韓・カナダの農民組織が共同声明

関連/「農協改革」法案衆院可決に抗議 問題点浮き彫り、参院で廃案に


新自由主義政策の拡大に警鐘

 国際農民組織「ビア・カンペシーナ」に加盟する日本、韓国、カナダの農民組織が6月15日、共同声明を発表し、TPPは家族農民を苦しめる「新自由主義政策を拡大する」として交渉の即時中止を求めました。

画像
ビア・カンペシーナのホームページ

 声明は、多国籍企業による世界の農産物支配の強化が、農民の暮らしや消費者の健康を脅かし、食糧主権、社会正義、生態系を損なっていると指摘。TPPは、こうした多国籍企業の利益ための新自由主義政策を拡大すると批判しました。

 また、たとえ農産物の輸出が拡大したとしても、家族農民の所得増大とはならないことを歴史が証明していると強調しました。

 さらに、(1)特許権の強化と延長によって安価な医薬品の入手が困難になる問題、(2)投資家国家紛争解決(ISD)条項によって、投資家による国家の訴追が可能になり、各国の保健・環境・社会政策が後退や廃止を余儀なくされる問題、(3)競争、国有企業、政府調達の条項によって、各国政府がそれぞれの事情に合った経済政策を進められなくなる問題についても警鐘を鳴らしました。

 声明はその上で、新自由主義の政策と実践をやめさせ、食糧主権、環境保護、国民の幸福を基盤とする新たな国際貿易体制を構築することが緊急に求められていると結びました。

 共同声明を出したのは、農民連のほかに、カナダのナショナル・ファーマーズ・ユニオン(NFU)、ケベック農民組合、韓国の全国農民会総聯盟(KPL)、女性農民会(KWPA)。

 これに先立ち、北米と欧州のビア・カンペシーナ加盟組織は4月30日、TPPに加えて、環大西洋貿易投資協定(TTIP)、カナダEU包括的経済貿易協定(CETA)に反対する声明を発表しました。

 ビア・カンペシーナは、2つの声明をウェブサイトに掲載。TPPなど新自由主義型協定に反対するキャンペーンをいっそう強化しようとしています。


「農協改革」法案衆院可決に抗議
問題点浮き彫り、参院で廃案に

農民連など7団体 声明を発表

 農民連、全労連、全農協労連、新日本婦人の会、自治労連、生協労連、全国食健連の7団体で構成する「安倍『農政改革』に反対し、食料・農業・地域を守る大運動」連絡会議は7月1日、「『農協改革』関連法案の衆議院採決に抗議するとともに、参議院での廃案をめざし奮闘する」とする声明を発表しました。

 声明は、6月30日に衆院本会議で、「農協改革」関連法案を自民、公明、維新の党などの賛成多数で可決したことを批判。法案が、「財界・大企業による企業的農業経営を促進させ、アメリカの財界要求に従って農協の信用・共済事業を多国籍企業に明け渡そうとすることは明白である」と述べ、また、「公選制を廃止して、農業委員会の機能を弱体化させる農業委員会『改革』は、戦後の農地制度の根幹を破壊するものにほかならない」と指摘しています。

 衆議院の審議では、参考人質疑、地方公聴会を通じて法案の問題点が浮き彫りになる一方、「農業所得向上」の道筋は示されず、「立法事実」が問われる状況になっています。「私たちは食料・農業・地域を守るため、たたかいの手綱を緩めず、引き続き、諸団体とともに地域での運動をさらに広げ、国会請願署名を最後まで積み上げ、安倍『農政改革』に反対する世論を大きくし、廃案をめざし奮闘する」と結んでいます。

(新聞「農民」2015.7.13付)
ライン

2015年7月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2015, 農民運動全国連合会