米価暴落の抜本対策を
TPP交渉から撤退せよ
農民連が農水省要請
農民連は6月25日、農水省に対して、米価暴落の抜本対策、TPP交渉からの撤退を求める要請を行いました。
白石淳一会長が、「アメリカ議会上院でTPA(貿易促進権限)法が成立したが、日本政府の態度が大きく問われる。TPP交渉から撤退すべきだ。また、農家は米価の暴落で、このままでは農業を続けられない。下落対策の最大の原因である過剰米への対策をすぐにとるべきだ」と最初に訴えました。
米の需給調整に国は責任をもて
TPPについて、農水省は、「日本政府が米などで譲歩しているという報道があるが、交渉は全体のパッケージで決まるもの」と答えました。農民連が、「交渉結果を受け入れようとしているだけではないのか。日豪EPA(経済連携協定)のように関税ゼロでなければ、国会決議を『守った』という立場ではないのか」と追及しましたが、農水省は「交渉結果を受け入れても国会で批准されなければならない」と述べるだけでした。
米価について、農民連は「価格暴落の原因は、過剰米対策を頑強に拒否する政府の姿勢にある。2014年産米の過剰分の市場隔離を実施せよ。米に対する需給調整に政府は責任をもて」と求めました。
「米価水準は、一番低いとは思っている」とは述べても、「異常」とは認めない農水省。「(政府買い入れは)食糧法上規定はある」としながら、需給調整のための政府買い入れは適当でない」の一点張りでした。
さらに、「主食用米の安定のためにも飼料用米の取り組みを応援していきたい」と述べました。しかし参加者は、農民連がすでに飼料用米に取り組んでいることを紹介しながらも「TPPで畜産がだめになったら、飼料用米の取り組みも無駄になってしまう」と訴えました。
ナラシは貧弱で対策にならない
農水省が、下落対策のためのナラシ(収入減少緩和)対策を持ち出したのに対して、参加者は、「今年のような低米価が5年続いたら、補てん金が出なくなる。ナラシは貧弱で、下落対策にならない」と批判。農水省も、ナラシ対策加入者が農家戸数比で数%程度にすぎず、それだけでは「不十分」であることを認めざるをえませんでした。
農民連は、「飼料用米にも取り組んでいるが米価下落に歯止めがかからない。一方で、農家は主食をつくることに誇りをもっている。農水省の『価格に影響を与える対策はとらない」という姿勢こそ改めるべきだ。需給調整に責任をもつというシグナルを発信するだけでも需給は締まる」と訴えました。
(新聞「農民」2015.7.13付)
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