「農民」記事データベース20150601-1167-10

旬の味


 水稲の種まき直後、ビニールハウス内が50度にもなり、高温下で苗を焼いてしまった農家が続出した。これまでなかったことで、まさかの異常天候だった▼米価の大暴落で重苦しい気分のなか、やっと終えた播種(はしゅ)作業に追い打ちをかけるようにまき直しや苗の手配を行った心労はどれほどか。昔から苗半作と言われているが生き物を育てる難しさを改めて知る。温暖化がこんなところにも及んでいるのだろう▼「非常時、イモばかりなら供給可能」の新聞記事には笑ってしまった。戦争などで輸入が止まった場合、今の米中心の食生活では必要なカロリーを賄えず、イモ中心で確保できるという。TPPを意識してか、食料自給率を50%目標から45%に下げる計画を閣議決定した。アベ官邸のなんと貧しく、情けない発想だろうか▼血税使ってイモ食う試算をするヒマがあったら、全国の農村現場に足を運び、汗だく、泥まみれで頑張っている農家の生の声を聞くことだ。ここにこそ明快な食料政策の処方せんが示されている。

(長)

(新聞「農民」2015.6.1付)
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2015年6月

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