「農民」記事データベース20150601-1167-01

絶対許さない
TPP撤退を

国会請願デモとアピール集会

関連/TPP考えるフォーラム


 グアムでTPPの首席交渉官会合が行われ、情勢が緊迫するさなかの5月20日、「TPP緊急国会行動 閣僚会合での『合意』は許さない! キャンドル国会請願デモと国会議員会館前アピール行動」が都内で行われました。

 全国から集まった参加者は東京・日比谷公園に集結しました。出発集会では、呼びかけ人の主婦連合会の山根香織会長と東京大学の醍醐聰名誉教授、山田正彦元農水相があいさつしました。山根さんは「TPPは経済的メリットもたらすという説明は全くの絵空事であることが明白です。大企業が国家を縛り、私たちの暮らしを壊すTPPはいりません」と訴えました。醍醐さんは「報道では大詰めと言われているが、メリットは見えなくなり、どんな不幸がやってくるのかがわかってくるばかり。最後の一押し二押しでTPPを阻止できるよう一緒にがんばろう」と呼びかけました。

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紙智子参院議員と畠山和也衆院議員(日本共産党)も激励に駆けつけました

 日比谷公園を出発したデモ隊は、農水省、外務省前を通過。「暮らしを壊すTPPはいらない」「国会決議を守れ」とアピールし、国会へと向かいました。デモ後は第2議員会館前に集結し、アピール集会を開催しました。

 地域でももうひと踏ん張り

 アピール集会では各地からの参加者が発言。

 岩手県生協連の吉田敏恵専務理事は「今日はいてもたってもいられず参加した。TPPは復興の役に立たないどころか邪魔になる。地方や被災地を切り捨てるような成長はあり得ない。本当に許せない」と怒り心頭です。

 農民連の白石淳一会長も北海道から参加。「何としてもTPP阻止したい一心で駆けつけた。譲歩を重ね真っ向から国会決議に違反しているTPP交渉からは撤退以外にない」と訴えました。

 京都からは府農民連常任委員の高屋晧さん(71)と井尻勇助さん(73)が駆けつけました。高屋さんは「いま、この状況で全国から集まることに意義があると思い、急きょ二人で参加しました。市町村議会でも請願運動に取り組んでいて、京丹波市では全会派の協力で意見書を採択することができました。農業の危機は地域の危機という思いが共有されています。全国の運動とタイアップしてTPP阻止へ最後の一押しをしなければ」と話し、井尻さんは「全国のたたかいに学んで、地域でどう運動するかが大切だと思う」と地域でもうひと踏ん張りがんばる決意を固めていました。


TPP考えるフォーラム

合意しないことが“国益”
運動さらに強め葬り去ろう

 TPPを考えるフォーラム「TPP交渉・合意しないことこそ“国益”―見逃せない問題の数々―」が5月19日、東京・日比谷図書文化館で開かれました。主催は、「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」の醍醐聰さん、「TPPに反対する弁護士ネットワーク」の中野和子さん、主婦連合会の山根香織さんが呼びかけ人となり、各団体で構成される実行委員会。

 醍醐さんが主催者あいさつを行い、「国民に十分な情報を提供し、国民的議論を尽くすことを求めた国会決議を守れないのは、国民に対する背信行為だ。TPPを挫折させるところまでがんばろう」と呼びかけました。

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「TPPを葬り去ろう」と話し合ったシンポジウム

 秘密交渉、議会軽視に不満噴出

 各分野から4人のパネリストが報告しました。アジア太平洋資料センター(PARC)の内田聖子事務局長は、「TPP交渉の現局面と参加各国での反対運動」について話し、アメリカでは、TPA(貿易促進権限)を持たないオバマ政権に対し、議会が修正要求や抱き合わせ法案、上院審議動議否決などで激しく揺れ動いていること、秘密交渉、議会軽視への不満が噴出していることなどを紹介。

 さらに、交渉離脱国がでる可能性や自動車の原産地規制、為替操作禁止問題など、日本にとってダメージとなる新たな課題も明らかになり、交渉がさらに行き詰まっている現実を述べました。

 「一人ひとりに関わる著作権問題」のテーマで報告したインターネットユーザー協会の香月啓佑事務局長は、TPPを知的財産の分野から解説。知的財産権、著作権の内容と、その保護と利用のバランスの重要性や著作権保護期間の延長による新たな創作の制限などの問題点を指摘。

 著作権侵害の際に、被害者の告訴がなくても裁判を起こせる非親告罪化によっても新たな創作が委縮し、情報技術の発展や情報流通の阻害を進めることを訴えました。

 これでいいのか農産品の扱い

 新潟県農協中央会の高橋一成常務理事は「農産品の扱いはこれでいいのか」のテーマで発言。小麦マイナス99%、砂糖マイナス100%の生産量減少率など、TPPによる農産物重要品目への影響試算(農水省)を示しながら、穀物自給率が28%で世界177カ国中124位という現実を紹介しました。

 日米2国間協議で、特別輸入枠として、日本が米国産主食用米を5万トンを限度に認めていると報道されていることを述べ、「農業は産業としての側面のみならず、地域の存立自体にも関わる営みであり、国内で飼料用米を作らせながら、主食用米を輸入するというのは誰がみてもおかしい」と訴えました。

 TPPに反対する弁護士ネットワークの岩月浩二弁護士は「ISDs(投資家対国家の紛争解決)の実態と多国籍企業の論理」について報告。

 「個人である外国投資家に、国と国との関係を規律する国際法上の主体性を認めてよいのか」と疑問を述べました。また、外国投資家が国家に対して外交交渉を行った場合、「その内容は国民に開示されず、国民は関与するすべをもたない」と批判しました。

 後半は、討論を行い、参加者からの質問に答えながら、TPPの問題について深く議論し、「連携した運動をさらに強め、TPPを葬り去ろう」と確認しました。

(新聞「農民」2015.6.1付)
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2015年6月

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