NPT(核不拡散条約)再検討会議
ニューヨーク行動に参加して
4月27日からアメリカ・ニューヨークで開かれているNPT(核不拡散条約)再検討会議で、日本原水協(原水爆禁止日本協議会)は1058人の代表団を派遣し、茨城農民連の会員も2人が参加しました。参加者の手記を紹介します。
同じ気持ちの米国人男性の
発言に勇気もらった
茨城・常陸野農民センター 荻谷祥子さん
今回私が特別に参加した2つのことについて書きたいと思います。
一つ目は、NPT再検討会議の開幕を傍聴したことです。国連総会議場の傍聴席から、会議が始まる瞬間を見ることができました。
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国連総会議場で荻谷さん |
各国代表から続々と「人類の生存のために核兵器は廃絶しなければならない。今回のNPT再検討会議を成功させよう」との発言がある一方、天野之弥IAEA(国際原子力機関)事務局長は「福島で事故があったが、核は国際的に重要なエネルギーであり続ける」と言い放ちました。何度も「核の平和利用」と言い、しかし今年が被爆70年であるにもかかわらず「広島・長崎」とは一度も言いませんでした。非常に腹立たしかったです。
二つ目は、佐野利男軍縮大使への要請に参加したことです。こちらの「唯一の被爆国として『核兵器全面禁止条約』を提案してほしい。核兵器廃絶という世界の世論を引っ張ってほしい」との要望に対して「日本政府は現実的な提案をしていく」と従来通りの返答でしたが、「核兵器廃絶が最終目標であるのはみなさんと同じだ」との発言もあり、率直で活発な意見交換ができました。
また、4月27日の国際シンポジウムでの米国人男性による「いま日本で『I am not ABE. (私は安倍晋三とは違う)』というのがはやっていますよね。私たちも同じで、『I am not BUSH, I am not OBAMA.』です。自国の核政策の誤りを正すために、米国民として活動し続けます」との発言に勇気をもらいました。
同じ気持ちを持った世界中の人々と連帯していけるのだと実感したニューヨーク行動でした。
核のない世界を求める
日本人の意思を訴えた
茨城農民連(東海村在住) 川崎勝男さん
茨城農民連の一員である私は、東海村原水協を代表して、草の根運動で集めた署名をニューヨークの国連本部に(3時間余デモ行進して)届ける行動、それにニューヨーク市民から直接街頭で署名を集める行動に参加しました。
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署名を集める川崎さん(右) |
日本からの草の根の署名は各自がトランクに入れてニューヨークまで運びました。その数は630万人分余り、同じく日本の平和首長会議が集めた別の署名110万人分、アメリカ国内で集めた署名あわせて合計800万人分が国連に届きました。
私にとってハイライトはニューヨーク市内での署名行動でした。セントラルパーク入り口で3回、マディソンスクエアガーデンで1回の4カ所で行いました。
マディソンスクエアガーデンでは「沖縄の基地ノー」のビラを配りながらの署名行動でした。通行中のみなさんに直接口頭で(英語で)訴えながら画板上の署名用紙に記入をお願いしました。署名に応じた人から、「長崎に住んでいた」とか「横浜にいたことがあるがあなたは日本のどこから来たのか」など瞬間の対話もありました。
このニューヨーク行動で私が集めた署名は4日間、6時間余で合計22人分でした。「沖縄の基地ノー」のビラは2時間以上かけて約200枚受け取ってもらいました。
5月の同じ時期にワシントンで安倍晋三首相は、オバマ大統領と会談して沖縄の人たちの度重なる選挙の意思をまったく伝えませんでした。まさにこのとき、原水協に結集した1058人は、一人ひとりの核兵器のない公平な世界を求める日本人の意思を、国連を通じ全世界に訴えました。
(新聞「農民」2015.5.25付)
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