「農協法案」国会審議入り
連絡会議が国会前座り込み
関連/山場を迎えたTPP交渉 主権を奪うのが米国の狙い
農業が、地域がつぶされる
廃案めざし全力あげよう
「農協改革」関連法案が国会審議入りした5月14日、全労連、全農協労連と農民連、新日本婦人の会、生協労連、自治労連、全国食健連で構成する「安倍『農政改革』に反対し、食料・農業・地域を守る大運動」連絡会議は、第2次国会前座り込み行動を行いました。
主催者を代表して全農協労連の斉藤裕委員長があいさつ。各地の参加者からも怒りの発言が相次ぎました。北海道農協労連の九村信吾さんは「現場の農家や農協職員はこのままでは農業も地域もダメになると不安のなか業務にまい進している。美しい国土を守りたいなら、農協組織を壊すのではなくTPP交渉からすぐに脱退し、国民の食料と農業生産を保護し、どんな規模の農民も担い手として支えることが必要だ」と発言。
岡山県農民連の坪井貞夫さんは「田んぼを耕していて涙が出てきた。TPPで日本の農業をつぶして何が『自然を守る』か。日本の原風景である田んぼを根底からつぶすTPP、そして地域の絆を壊す農協つぶしに、大きな反対の声を広げていこう」と訴えました。
新潟農協労連の砂山太一さんは「規制改革会議は『農協のせいで農業がダメになった』と言っている。今年、上越の中山間地では5年に一度の直接支払いの申請が行われている。米価暴落で、先が見えなくなり50ヘクタールも申請が減ってしまった。これは安倍政権の農業政策の結果ではないか。なにが『日本をとり戻す』『日本の農村の景観を守る』か。全くのでたらめではないか」と怒りの告発をし「最後まであきらめないのが地域の声だ。一緒にがんばろう」と呼びかけました。
長野県農民連の伊藤公平さんは「近くには肉牛農家がいる。全国の共進会で最優秀表彰されるような人が『TPPに入ったら俺も終わりだ』という。自民党の議員は地元に帰ると『TPP反対』『農業守る』と言うが本当に国会の中で言っているのか。1回も田んぼの中に入ったことがないようなやつが農業を論じるのは何事か。もっともっと全国で怒っていいと思う。TPPや農協改革をぶっつぶすために全力を尽くそう」と訴えました。
座り込み行動には、日本共産党の吉良よし子、紙智子、田村智子参院議員、畠山和也、斉藤和子衆院議員が激励に駆けつけました。
また、参加者は衆参両院の農林水産委員に要請を行いました。
静岡・県民ネットが学習会
TPPを考える県民ネットワーク(消費者団体・生協連・漁連・畜産協会・JA静岡中央会ほか)が主催する「TPPを知るための県民学習会」が4月25日、静岡市内で行われました。今回は立教大学の郭洋春教授と東京大学大学院の鈴木宣弘教授を講師に山場を迎えているTPP交渉について学習しました。
まず、郭教授が「韓米FTAのその後とTPP」というテーマで講演。「TPPの本当の恐ろしさは、韓米FTAを見れば明白。FTAによって韓国では複数の法律、施行令、施行規則、告示、例規等が改正された」と問題点を提起しました。
さらに「米国の本当の狙いは、相手国の法律・制度・習慣を変えることで、国家主権を奪うことにある」と述べ、TPPに代わり、「観光産業と農業(地域)を育成すれば、TPPに参加しなくても日本経済は成長する」と訴えました。
続いて、鈴木教授は、「TPP、規制改革の正体」と題して報告。「企業利益の拡大に邪魔なルールや仕組みは徹底的に壊す、または都合のよいように変える」ことを目的として、人々の命、健康、暮らし、環境よりも企業利益を追求するのがTPPであり、規制緩和、農業・農協「改革」の本質だと語りました。
(静岡県農民連 種石かおり)
(新聞「農民」2015.5.25付)
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