ビア・カンペシーナ東南・東アジア地域会議
紛争と内戦続くアラブ地域
パレスチナでの奮闘に感動
農民連女性部部長
久保田みき子さんのリポート
国際的農民組織ビア・カンペシーナ東南・東アジア地域会議と女性会議が4月2〜7日、韓国で開かれました。農民連から真嶋良孝国際部長、久保田みき子女性部部長、岡崎衆史国際部員が出席しました。久保田さんのリポートを紹介します。
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6日間という長い日程でしたが、全日程を通して初めてビア・カンペシーナの地域会議をまるごと体感することができました。食糧主権、気候変動、平和、女性の地位向上、青年、土地収奪とのたたかい、TPP・FTA(自由貿易協定)などについて現状を出し合い、私たちの対案を持ち、行動計画を立てました。国境を越えて、アジア地域の未来に取り組んでいることに、あらためて感動する日々でした。
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地域会議の一環として韓国国会で開かれた食糧主権シンポジウムに参加した人々(4月3日) |
貧困率が高く土地没収も続く
なかでも、紛争の絶えない中東のパレスチナから参加したアリ・ハスネフさんの報告は、とても心に残るものでした。
パレスチナはいま、イスラエルに侵攻され、ヨルダン川西岸地区とガザ地区だけとなっており、もともとの土地の21%しか残っていないそうです。しかも今なお入植が進められ、農業が可能な地域にはイスラエルが入植。水も82%を独占し、貧困率は25%に達しています。
ガザ地区はここ6〜7年は、陸路も海も完全に封鎖され、行き来もできなくなっていて、食糧も水もイスラエルが支配。農業は完全に破壊され、漁業は沿岸3キロまでしかできません。昨年7月から8月には、イスラエル軍がガザ地区を一方的に攻撃しました。360平方キロメートルしかないガザに2600トンもの爆弾が落とされたそうです。
アリさんは、「私たちはこのような中で活動しています」と言います。
農業や女性などの運動が始まっていますが、アリさんは「今でも毎月、イスラエル軍が新しい土地を没収している。この強制的な土地没収とのたたかいは、とても困難だ」と報告していました。
アリさんは、シリア、イラク、エジプトなど内戦状態や政治的混乱がつづく国々についても言及しながら、「アラブ地域での運動の組織化・民主化をすすめていきたい」と述べました。
私達には強いエネルギーがある
また別のセッションでも、ビア・カンペシーナ東南・東アジア地域国際調整委員のヘンリー・サラギさんが、「中東地域での問題は、紛争のなかでどう組織を築くかということだ」と提起。アリさんは、次のように発言しました。
「私たちには強力なエネルギーがある。独裁政権下にあるエジプトで本当の変革ができれば、他の地域でも大きな影響を与える力になる。シリア、ヨルダン、レバノンなどでも小農民の組織はできるのではないか。パレスチナでも、女性や労働者、農民などが民主的な運動でつながっている。私たちはアラブ勢力のさまざまなところにつながりがある。将来的には、アラブ地域24カ国のうち15カ国で組織化できる可能性がある」
日本での運動が世界との連帯に
ビア・カンペシーナが世界の様々な課題に、対案を持って行動しているのを目の当たりにして、農民連がビア・カンペシーナの一員として、日本で安倍政権の暴走政治とたたかい、平和を守り、民主主義をとりもどす運動に取り組んでいることは、日本に住む私たち自身の生命と暮らしを守るだけでなく、世界のさまざまなたたかいと連帯して、歴史を前進させる力にもつながっているのだと、強く感じました。
(新聞「農民」2015.5.18付)
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