産直運動にどう取り組むか
地域創生 生消研がシンポ開く
農と食を通じ地域の自立と
自然との共生をめざす
食糧の生産と消費を結ぶ研究会(生消研)は4月11日、都内でシンポジウム「地域創生と産直運動を考える――コミュニティづくり・人づくり」を開きました。
 |
討論する(左から)佐藤、松本、近藤、木村の各氏 |
実績を検証して
生消研の松本和広会長(紀ノ川農協)が主催者あいさつ。今回のシンポについて、「各組織が今まで積み上げてきた実績や到達を検証し、これからの産直運動をどう組み立てていくか深めていきたい」と位置づけました。また「TPPや農協改革など農業をめぐる厳しさはあるが、都市住民の『農村回帰』や食と農への関心の高まりなど明るい話題もある。地域を拠点に産直組織がどう展開していくか、一緒に考えよう」と述べました。
各地の取り組みを4人のパネリストが報告。埼玉産直センターの木村友一代表理事は「雪害から復興へ 生産者主体、共同、継続をキーワードに産直運動と事業運営」について語りました。
はじめに、昨年2月の雪害で被害総額が10億円と想定されつつも、取引先の産直団体によるボランティア支援、支援金や激励の言葉などで復興に取り組み、1年後には生産額が過去最高時の88%にまで回復したことを紹介しました。
販路を拡大して
ながさき南部生産組合の近藤一海会長理事は、「『農』と『食』を通じて地域の自立と自然との共生をめざす」のテーマで発言。生産組合のほか、資材の共同購入や選定を行う協同エコロジーファーム、新規就農者の育成や研修、直営農場などを担当する「オーガニックランドながさき」との3社で産直に取り組み、直売、道の駅などのほか、大型ハウスの設置、直売所やインショップなどで販路を拡大してきた経過を述べました。
移住者も増えて
大分・下郷農協の松本聡雄参事が「いま流れは里山に、新規住民の姿から見えてくる下郷農協の魅力と明日」と題して報告。市町村合併を機に、過疎と高齢化が加速し、耶馬溪町からも人と農民が姿を消していくなか、東日本大震災を経て、農業に携わる移住者も増え始めたことを紹介。安全な食べものと自然豊かな田舎暮らしにあこがれ、移り住むことで、地域が元気になっている様子を述べました。
新しい信頼関係
最後に、山形・JA庄内みどりの佐藤秀彰・吹浦支店長が「40年提携の歴史そしてこれから」のテーマで報告。生活クラブ生協、遊佐町、農協の3者の40年以上に及ぶ提携関係を土台にして、「地域農業と日本の食料を守り、持続可能な社会と地域を発展させる」ことを目標に、飼料用米プロジェクトの取り組みなど、信頼関係が新しい発展段階に入ったことを強調しました。
その後、「産直運動の今後」「エネルギー自給のコミュニティーづくり」について議論しました。
(新聞「農民」2015.4.27付)
|