エネルギーシフト進め
温暖化ガス大幅削減を
公害地球懇など3団体が国に申し入れ
公害・地球環境問題懇談会(公害地球懇)など3団体は4月9日、経済産業省と環境省に対し、「脱原発・エネルギーシフトで温暖化対策抜本強化の目標を求める要求書」を提出し、申し入れました。
いま世界では、今年末にフランス・パリで開かれるCOP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)での合意に向けて国際交渉が進められており、温室効果ガスの削減目標をより野心的なものにするため、今年3月までに、世界各国に国ごとの削減目標を『約束草案』として国連に提出するよう求めていました。
しかし日本政府は、福島原発事故以降、原発がほとんど稼働されていないことから、「長期エネルギー政策が固まらないと、気候変動政策も議論できない」として、3月までには約束草案を提出できませんでした。せめて今年6月のG7までに出そうと、現在、経済産業省と環境省でエネルギーと温暖化政策の議論が進められています。
公害地球懇は要求書で、「地球温暖化は健康弱者、農業者、途上国の貧しい人々、そして将来世代への大きな脅威になる」とし、原発事故を「最大の公害」と指摘。政策を抜本的に転換し、エネルギーシフトを進めるとともに、温暖化ガスの大幅な(2030年に、1990年比で40〜50%)削減目標を掲げるよう、求めました。
全国労働組合総連合(全労連)幹事の川村好伸さんは、「産業優先の政策では、環境政策は後回しになってしまう。これだけ気候変動は進んでいるのだから、温暖化を止めるために削減目標を明確にし、経済や政策を根本から転換していく必要がある」と強調。
また他の参加者からも、「福島原発事故の経験からも、農業と原発は絶対に共存できないことは明らかだ。原発は低コストだというが、賠償もまったく不十分。廃炉費用や核廃棄物の問題も未解決だ」などの声や、「原発ゼロが国民の多数の声だ。政府内の審議会だけで議論せず、市民、研究者の意見を取り入れてほしい」などの意見があがりました。
(新聞「農民」2015.4.27付)
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